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電磁波が体に悪影響あたえると心配

社会編;市川博正記者(編集部)

ジャン

おすもうの国技館のある東京・両国に遊びに行ったら、「通信タワーの建設反対」っていうはり紙があったんだけど。

市川記者

携帯電話の電波塔をそなえたビルを建てようとする計画に、住民たちが反対している問題のことだね。電波塔から出る「電磁波」=メモ参照=が体に悪い影響をあたえるのでは、と心配しているんだ。

ポン

デンパトウって?

市川記者

かんたんにいうと、電波を受けたり送ったりするアンテナのことさ。電波を中継して、遠くはなれたところとも通話できるようにするんだ。

ケン

携帯電話用のアンテナなら、ほかの地域にもあるでしょ。

市川記者

携帯電話を使う人がどんどんふえて、携帯電話からの電波を直接受ける基地局をもうけたり、中継用の鉄塔を建てたりする計画が各地で進められている。大阪や福岡でも反対する運動が起きているそうだよ。

通信用タワーのイメージ図。屋上にある円柱がアンテナです
高さ100メートル予定が200メートルに周囲に学校、生活に不安

ジャン;通信タワーってどんな建物?

―NTTドコモなどが計画しているもので、高さは約200メートル。事務所になる27階建てビルの屋上に、中継用のアンテナがおかれる。ドコモ広報部によると、基地局からの電波をまとめて、遠くの場所へ送信したりする「中継所」だというよ。

ケン;高いなあ。

―はじめは高さ100メートルほどのビルだけの計画だった。おととしの10月、地域の一部の家に計画をかえる通知がきて、去年9月に初めて住民への説明会が開かれたそうだ。その後、4回の説明会が開かれているけど、地域の人たちは会をつくって、建築計画の見直しをもとめている。

ポン;どうして?

―建築が計画されている場所のとなりは幼稚園と公立中学。まわりにも私立中学や高校、病院がある=地図参照。お医者さんでもある住民の会の代表は「携帯の電磁波の研究はいまもつづけられており、人体に絶対安全とはまだいい切れないと思う。不安のある中で、成長期の子どもたちを生活させられない」といっている。

全国100か所で反対の声 ドコモ「地域理解得て」

ケン;携帯の電波って安全なの。

―電波の人体への影響については、世界保健機関(WHO)や日本をはじめ世界各国で研究されている。総務省では1997年から研究委員会で調査しており、九九年には人体に影響がないという電磁波の基準値を決めた。WHOの基準と同じで、それを下回っていれば「健康への悪い影響はない」と発表されているんだ。

ジャン;それでも、反対運動があちこちであるの。

―市民グループ「電磁波問題市民研究会」によると、これまでに東京、神奈川、大阪、福岡など全国百か所以上で基地局などの建設に反対の声があがっているというよ。

【電磁波】

  導線に電気を流したときなどに、空間に放たれる目に見えない波のこと。送電線やパソコン、雷なども電磁波を出します。携帯電話・PHSのほか、テレビやラジオ、電子レンジなどに利用されている電波も、電磁波の一種。エックス線やガンマ線などの電離放射線や太陽の光も電磁波です。
   これまでの研究では、携帯電話や基地局からの電波が人体に影響をおよぼすという結果はでていません。世界保健機関(WHO)の研究機関が2003年までの予定で大規模な調査をしています。

 イギリス政府は去年5月に「安全基準以下であれば電磁波が病気につながるものではないが、成長のとちゅうの子どもは携帯電話を使いすぎない方がいい」という内容の報告書を発表した。
 イタリアやスイスでは日本よりきびしい基準値をもうけている。この市民グループでは「電磁波の影響はまだはっきりしない。基地局などをつくるときは住民の同意を原則とすべきです」と話している。

ケン;両国のビルはどうなるのかな。

―ドコモでは「電磁波に関しては、国の基準をみたし安全性を確保しています。説明会をしたからすぐに工事をするということではありません。地域のみなさんに十分理解してもらった上で、計画は進めていきます」といっている。住民が納得できるようなこたえがみつかるといいね。

(2001年9月9日)


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