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フェアじゃないね 学校に不正入学

社会編;星野 哲記者(朝日新聞電子電波メディア局ニュースデスク)

ケン

えーっと、2×2が4、4+5で……。

星野記者

おっ、勉強中か。えらいなぁ。

ポン

この前のテストでひどい点だったからママに「勉強しなさい」っておこられたんだ。

ケン

うるさいな! あーあ、勉強しないでいい成績がとれないかなあ。そうなればテストだって楽勝なのに。

ジャン

そういえば、クラスに中学を受験する友だちがいて、「裏口入学の事件があった」とおこっていたわ。

成績悪くてもお金で「合格」買う親がいる

医学部の入試をめぐって、入学前に寄付金を受けつけたとされる帝京大学=東京都板橋区で。朝日新聞社のヘリから

 ポン 「裏口入学」ってなに?

 ―ひとことでいうとズルをして学校に入学すること。私立や国立の中学や高校、大学などに入るには、入学試験でいい成績をとらないと入れないのは知ってるよね。

 どの学校も、たくさんの子どもたちが試験を受けるから競争はたいへんだ。勉強しなければ受からないし、いっしょうけんめい勉強してもかならず入れるとはかぎらない。だから、学校の関係者などにお金をわたして、入試の成績が悪くても自分の子どもを入れてもらおうとする親もいるのさ。

 ジャン 友だちがおこっていた事件って?

 ―最近、ニュースで目立ったのは2件ある。ひとつは帝京大学という学校の医学部に合格した受験生のうち、約半分の親が合格発表前に3千万円から1億数千万円という高額の寄付金を大学にはらっていたことがわかったんだ。裏口入学ではないか、とうたがわれているよ。

帝京大学医学部の受験生の父母におくられてきた寄付金の領収書。2枚あわせた金額は5000万円になります

 ケン 寄付金をはらうといけないの。

 ―旧文部省は1981年に、裏口入学につながるとして入学前の寄付金集めを禁止することを大学などにつたえた。医学部や歯学部への不正入試の問題があいついだからなんだ。

 ポン ふーん。

 ―もう1件は、日本大学の教授が知り合いに「わたしはどんな学校にも顔がきく。1千万円くれれば、あなたの娘を有名中学に裏口入学させてあげる」と、うそをついてお金をだましとった。この子が入試で不合格だったため、親がおこって事件が明らかになったんだ。警察は詐欺のうたがいでこの教授を逮捕した。

 ジャン 罪になるのね。でも、本当に裏口入学させたら詐欺にはならないんじゃないかしら。

 ―合格した場合は裏口で入ったのか、実力で入ったのか、区別がつきにくいし、親もだまっているだろうからむずかしいだろうね。だけど、たとえば政治家がお金をもらって裏口入学させたとすれば、わいろをおくったり、もらったりする贈収賄やあっせん利得罪という罪になる。悪いことにはまちがいないから、わかったところで罪は問われるだろうね。

 ケン 裏口入学の事件は多いの?

 ―残念だけど、ときどき明らかになっている。

 ジャン そんな学校や「裏口入学させます」という人も悪いけど、親もいけないわ。

 ―本当にその通りだね。いくら子どものためとはいっても、子どもが事実を知ったら、一生の負い目になるかもしれない。裏口入学が広がるようだと、入学試験の公正さに疑問が出てくる。するとまじめに努力してもしかたがない、というふうにみんなが考え始めるかもしれない。そんな社会ではこまるよね。

 ケン どうすれば裏口入学は起きなくなる?

 ―むずかしい質問だね。これ、という決め手はない。「私立学校法」という法律では、法令に違反した場合などは、文部科学大臣が学校を閉鎖するよう命令を出せることになっている。でも、そうしたケースはまだないというよ。

 学校については、文部科学省などがきちんと監視して問題があれば罪を問うことが対策のひとつだ。でも一番大事なのは、親たちの心がまえだと思う。入試って子どもたちに努力することの大切さ、がまんすること、成功のよろこびなどを学ばせる機会のひとつだ。そんな貴重な機会を台なしにしてほしくないと思うな。

(2002年7月6日)


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