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少子化対策の法律って?

小野 智美記者(朝日新聞くらし編集部)

ジャン

 ママが新聞を見ながら「少子化対策の法律がふたつもできたのね」と話していたけど。

小野記者

 7月にできた「少子化社会対策基本法」と「次世代育成支援対策推進法」のことね。少子化をくい止めるための対策が書いてあるのよ。

ポン

 少子化って何のこと?

小野記者

 子どもの数が少なくなることよ。統計では、55年前の女の人には平均して4.4人の子がいたけれど、いまは1.3人の子しかいないの。

「国民や社会は子どもをふやす努力を」と決める
合計特殊出生率(ごうけいとくしゅしゅっしょうりつ)
ひとりの女の人が一生の間に産む子どもの数の平均

  ジャン いつから子どもはへったの?

 ――30年ほど前からね。この10年ほどでますます少子化が進んだのよ。

 ポン どうして?

 ――まず結婚しない人がふえたのよ。いますぐに結婚しなくてもいいやと思う男の人や、いまは結婚するより仕事や勉強をしたいと思う女の人ね。それに、結婚しても子どもをもたない人たちもふえてきたの。

 ケン 子どもがへったら、遊び相手がいなくなっちゃう。

 ――そうね。鬼ごっこや野球をしようにも人数が足りないこともあるかな。小学校でもクラスがへったせいで、使われなくなった空き教室があるでしょう。学年がひとクラスしかなくて、クラスがえができない学校も多いみたいね。

安心して子育てできるしくみができたら、子どもの数もふえるかな

 ケン でもクラスの人数が少ないと、先生とたくさん話ができるんじゃない?

 ――いいこともあるかもね。でも、このまま少子化が進んだら、いまの社会のしくみがこわれてしまうと心配する人もいるの。たとえばいまの年金制度をつづけていくのは大変よ。

 ポン ねんきん?

 ――国がお年よりにしはらうお金のこと。お年よりの生活に必要なお金ね。これは働ける世代の人がはらう保険料から出ているの。でも、働く世代の人がだんだんへるわけでしょう。いまはひとりのお年よりを3・6人でささえてる計算だけど、みんながおじいさん、おばあさんになるころは、ひとりのお年よりを1・4人でささえなくてはならないのよ。

 ジャン 大変! 
 子どもをふやすのに、ふたつの法律は何を決めたの?

 ――「少子化社会対策基本法」は、家庭や子育てに夢をもてる社会をつくるために国民は努力しなければならない、と決めているの。ただし国会では、「これは国民ではなく、国ががんばることではないか」という疑問も出ていたわ。

 ケン ふうん。

 ――それに、産みなさいといわれても、子どものできない夫婦や、産みたくない人はこまるでしょう。今度の法律には「国と地方は子どものできない人の治療にとりくむ」とまで書いてあるから「『子どもを産まなきゃダメ』というんですか」と心配する議員もいたの。そこで法律には「子どもをもつかどうかはその人自身が決めることだ」と書き足したのよ。法律は国と地方に、ほかにも少子化対策をさだめているわ。

 ケン どんな?

 ――仕事があっても安心して子育てできるように助けるの。親が外でおそくまで働く間、子どもを保育園であずかるとかね。「次世代育成支援対策推進法」は、市町村や大きな会社に、10年間の行動計画づくりを義務づけたの。案としてみんなが中学生、高校生になったら赤ちゃんとふれあう機会をつくって、親になる大切さをわかってもらおう、とまでいってるのよ。

 ジャン へえー。それで子どもはふえるのかしら。

 ――うーん。推進法で、国は「お父さんの働き方も見直そう」と会社などにいってるの。お父さんはいそがしくて、みんなが起きてる時間になかなか帰ってこられないんじゃない? もし早く帰って夕食をつくってくれたりしたら……。

 ポン ぼく、うれしいな。

 ――たぶんお母さんもね。「お父さんがもっと子育てに協力してくれるなら、子どもがほしい」と思ってるお母さんたちもいるのよ。それがふつうにできる社会になれば、子どもを産みやすくなるかもしれないね。

(03年8月2日) 


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