岩井克己記者(朝日新聞編集委員)
皇室で、秋篠宮さまのお妃の紀子さまに男の子が生まれて、15日には紀子さまに抱かれて東京の病院を退院。テレビも新聞も街の人たちも大さわぎね。
こいのぼりをあげてるのも見たよ。どうして?
天皇陛下の長男の皇太子さまには女の子しかいないし、次男の秋篠宮さまにもふたりの女の子しかいなかったので、天皇の位をつぐ男のお孫さんがいないと心配されていたんだよ。これで皇太子さま、秋篠宮さまの次に天皇の仕事をつぐお孫さんがあらわれた、よかったね、とみんなよろこんでいるんだよ。
女の子は天皇になれないの?
悠仁さま誕生で皇室典範論議おさまりそう
|
悠仁さまを抱き、退院する紀子さま=15日午後、東京都港区の愛育病院で(代表撮影) |
――大むかしから天皇は父親の家系でつないできたから、女性の天皇も8人いたけど、みんなピンチヒッターみたいに天皇になって、すぐ男にバトンタッチしたんだ。いまは皇室典範という法律で、天皇になるのは男だけと決められているんだよ。皇位継承順位(天皇の地位をつぐ順番)も決まっていて、生まれた男の子は第3位だよ。
ケン どんな順番なの?
――血のつながりのある人の中で、長男、次男、三男など年上順と決められている。天皇に息子がいなければ天皇の弟、それもいなければ前の天皇の弟、などの順番なんだ。
ジャン よくわかんない。女でもいいじゃない?
――いまはそう思う人も多いね。実際に国会で法律をあらためようという動きもあったんだ。あらためられれば、皇太子さまの娘の愛子さまが皇太子さまの次に天皇になるはずだった。でも、天皇家はむかしから父方でつないできたんだから、それをやめたら天皇制を大事につづける意味もなくなる、と反対する人もふえていた。意見が分かれていたんだ。
ケン そしたら男の子が生まれたんだ。法律をあらためようという動きはなくなるの?
――たぶんそうなるだろうね。いまの天皇陛下の次は皇太子さま、その次は秋篠宮さま、さらにその次は生まれた男の子と、当分はつながるから。ただ、皇太子ご夫妻にも秋篠宮ご夫妻にも、この先赤ちゃんはできないかもしれない。こんど生まれた男の子の次に天皇になる子はいないし、もし男の子に何かあったら、だれもつぐ人がいないということになってしまう。問題は終わったわけじゃない。
ケン どうすればいいんだろうね。
――むずかしいね。これから皇太子ご夫妻に男の子ができるかどうか、秋篠宮ご夫妻にもうひとり男の子ができるかどうか、それにもよるだろう。しばらくようすを見ることになるだろうね。
ポン 赤ちゃんは名前が決まったんだよね。
――12日に名前とお印(天皇や皇族が身の回りの品に名前のかわりにつける印)を決める「命名の儀」があって、「悠仁(ひさひと)」と決まった。悠然として、ということばのように、ゆったりした大らかな子に育ってほしいという願いがこめられているんだって。
ケン だれが決めたの?
――名前はご夫妻で相談し、秋篠宮さまが決めたそうだ。皇太子のお子さまには天皇陛下が名前を贈るけど、宮家の場合は、宮家のご夫妻が名前をつけるならわしがあるんだ。
ポン ふーん。
――男の子の名前は「仁」がつく二文字になるならわしもある。天皇陛下は「明仁」、皇太子さまは「徳仁」、秋篠宮さまは「文仁」というようにね。女の子には、愛子さまや、秋篠宮家の眞子さま、佳子さまのように「子」をつけるのがならわしだよ。
ジャン 「命名の儀」みたいな行事はまだあるの?
――これから「皇統譜」という天皇家だけの特別な戸籍簿に書きこまれて、生まれて50日目くらいにお宮参りにあたる行事、120日目くらいに「お箸初め」といって、初めてご飯を食べさせるお祝いの儀式があるはずだ。成長が楽しみだね。
【きょうのポイント】
|
▽秋篠宮妃紀子さまが、男の子を出産。天皇の位をつぐ皇位継承順位は、皇太子さま、秋篠宮さまにつづいて第3位になった。
▽皇室典範という法律で、天皇になるのは男だけと決められている。国会で法律をあらためて、女の天皇をみとめようという動きもあったが、秋篠宮ご夫妻に男の子が生まれたことで、この動きがなくなるとみられている。
▽秋篠宮ご夫妻のお子さまの名前は「悠仁(ひさひと)」と決まった。「ゆったりとした大らかな子に育ってほしい」との願いがこめられている。 |
(2006年9月16日)
|