設計を煩雑にする米の国際単位拒否
「国際宇宙ステーション」に増設する日本の実験棟「きぼう」の設備の打ち上げが、3月から始まります。
宇宙ステーションの建設は、アメリカ(米)、ヨーロッパ、日本、ロシアなど15か国が参加しています。2010年に完成、各国の宇宙飛行士6人が一緒に生活します。
そこで使う言葉は英語(一部ロシア語)に統一されています。
ところが、長さやものの量、温度などの単位は統一されていません。日本、ヨーロッパなどはメートル法(厳密には国際単位系)で、メートル、キログラムを使っていますが、アメリカはヤードとポンド。
1ヤードは36インチ、1インチは2.54センチ、1ポンドは453.6グラム……エッ、ややこしいって。そう、単位が違うと言葉が違うのと同じようにややこしいのです。
宇宙航空研究開発機構で「きぼう」の開発を担当する青木伊知郎博士も「アメリカにはメートル法が通じず、苦労しました。間違いも起こりやすいので気も使う。やっかいです」といいます。
なぜ、最新の宇宙基地がこんなことになったのか。
「国際単位系は計算しやすい」(青木博士)ので、世界の多くの国が努力して採用しました。
日本も尺貫法という単位でした。土地の広さを「坪」、お米の量を「合」や「升」で表すのはその名残です。でも経済力の強いアメリカはそんな努力をせず、むかしながらの単位で今まできてしまったのです。
設計段階で、単位系問題を話し合いましたが、アメリカは「メートル法で設計すると費用が膨れ上がる」と断固反対を通しました。
だから、「きぼう」はメートル法で設計されていますが、アメリカ製とつながる部分〓写真、テストモデルの上の穴〓はヤード・ポンド法になっているのです。
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