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「防衛省」になってどうかわったの
朝日中学生ウイークリー ニュースドンとこい!より(2007年1月21日)
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庁から昇格、長官は大臣に
自衛隊海外活動も「本業」に


防衛省の看板の除幕式=9日、東京都新宿区

 政府の中に「防衛省」が発足しました。「防衛庁」から昇格した形で、防衛庁長官は防衛大臣になります。これまでは付随的任務とされてきた自衛隊の海外活動も、本来任務という「本業」に格上げされます。閣議の開催や予算要求も内閣府を通さずに直接でき、新しい部隊や組織もつくられそうです。一方で、海外へ自衛隊がやたらと派遣されないか、自衛隊幹部の力が大きくなりすぎないか、議論が必要だとの声も根強くあります。

 防衛庁は自衛隊を統括する国の役所として1954年にできました。ただ、戦前と戦中に軍隊が政治をねじ曲げた反省などから、半世紀余りも「庁」にとどまっていました。形の上では、内閣府の外局といって、財務省に予算を要求するのも、閣議を開くように求めるのも自分だけではできず、総理大臣(内閣府)を通さなければなりませんでした。

 自衛隊についても、戦力の不保持を定めた憲法九条との関係などから、普通の軍隊とは違う制約がありました。専守防衛といって、日本国土の防衛を主にしてきたのです。海外活動が「本業」ではなく、「副業」的な任務とみなされてきたのも、そうした経緯からです。

 しかし、政府は湾岸戦争の91年に海上自衛隊の掃海艇をペルシャ湾に派遣。92年には国連の平和維持活動(PKO)に協力するという理由で、陸上自衛隊をカンボジアに送るなどの「実績」をつくってきました。

 さらに、特別措置法(特措法)を国会で成立させてインド洋へ艦船を派遣し、イラクへも航空自衛隊や陸上自衛隊が派遣されました。国内の災害救助で自衛隊が活躍したこともあって、防衛庁の「省」昇格論が強まったのです。

独自に予算要求や閣議開催
文民統制のあり方で議論も

 「防衛省」となると、内閣府から独立したことで、予算要求や閣議開催要求が国土交通省や農林水産省などと同様に独自にできます。英語の表記も、「Agency(庁)」から「Ministry(省)」に変わりました。

 「本業」となった海外活動は、@国際緊急援助活動A国連平和維持活動B周辺事態の後方支援Cテロ対策特別措置法の活動Dイラク特別措置法の活動。これらが、これからは国土防衛と同じ重さで行われるということです。

 海外活動を充実させるために陸上自衛隊内に専門部隊を集めた中央即応集団や、現地情報隊が新しく設けられるといいます。省内に日米防衛協力課も新設される見通しです。

 自衛隊の最高指揮官は、これまでと同様、総理大臣です。軍人が戦争へと突き進んだ反省から、自衛隊を最終的に管理統率するのは、制服を着た自衛官ではなく、文民といって、政治家や非自衛官の公務員という制度に変わりはありません。

 しかし、この文民統制(シビリアンコントロール)も、自衛官の発言力が強まり、形だけになるのではないかといった批判や反発が消えてはいません。

 安倍内閣が憲法改正を掲げていることとの関係を不安視する見方もあります。文民統制や海外派遣の制約がゆるんでいくと、自衛隊がいつか「普通の軍隊」になってしまうのでは、という心配です。

 防衛省の発足は、歓迎する声もある一方で、多くの問題を伴っています。

(高橋 俊一・ジャーナリスト)

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