朝日中高生新聞
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北朝鮮、「初の水爆実験に成功」と発表

2016年1月31日付

 北朝鮮政府は6日、2013年2月以来、4回目の核実験を行った。北朝鮮政府は「初の水爆実験」が成功したと発表した。日本や韓国をはじめ、世界各国が強く批判している。国連も、北朝鮮との取引の制限などより厳しい対応を考えている。

本当に水爆だったかは疑問

党大会前に国内の結束を図るため?

 水爆は、北朝鮮が実験してきた原爆の数百倍の威力がある。違った種類の水素が一緒になって別の物質になる時に巨大なエネルギーができる「核融合反応」で爆発させる。これは太陽の中で起きているものだが、人の手で起こすには、原爆の威力を使って水素を融合させる必要がある。
 ただ、今回北朝鮮が本当に水爆実験を成功させたかどうかには大きな疑問が持たれている。水爆には高い技術がいるし、実験の時の振動もそれほど大きくなかったからだ。
 今回の実験について、北朝鮮のメディアが発表した政府の声明では、米国など「敵」が核兵器でおどしているから、自分たちの身を守るためのものだと説明している。しかし、本当は北朝鮮の指導者、キムジョンウン第1書記の権力を国内の人たちに見せつけるためではないかとみられている。今年5月には、金氏がトップに座る朝鮮労働党の党大会がある。それを前に国内を「結束」させようとしたのではないかという考え方だ。
 北朝鮮は金氏の一族が巨大な権力を持つ独裁政治だ。韓国の主張では、金氏は権力を保つためにこれまで、100人以上の政府の幹部を処刑したという。核爆弾やミサイルの実験などをしてきたことで国連加盟国と取引の一部が禁止される「経済制裁」を受けていることもあり、北朝鮮の経済は苦しい。国民の不満が大きくなって国がバラバラにならないためにも、金氏の力を示す必要があるとみられる。

破られ続けた核についての合意

中国も厳しい態度をとると苦境に

 北朝鮮はこれまでに「核開発をとめる」「核の施設を動かさない」などとする合意を他国と結んできたが、いずれも破られている。2003年からは日本や米国も入った6カ国で話し合いをしてきたが、北朝鮮は09年、この話し合いから脱退すること、核兵器の開発を再開することを表明した。
 日本は世界で唯一、核爆弾を落とされた国だ。原爆の被害にあった広島や長崎の人は今回の実験を「武力で平和になることはない」と強く批判している。
 これまで日本は、国連の経済制裁とは別に、厳しい制裁を北朝鮮にしてきた。しかし一昨年、被害者の話し合いを再開することを条件に、人の行き来や一部の船の入港など、制裁を部分的にゆるめた。今回の核実験に「裏切られた」という気持ちも強い。国連制裁を強めた上でさらに日本だけの制裁も考えている。
 これまでは、国連の制裁があっても、中国が北朝鮮に石油や食糧を送ったり貿易したりして後ろから支えてきて、それで国がもっていたとみられている。だが今回、中国は事前通報がなかったとして北朝鮮を強く批判している。中国が本気で北朝鮮に厳しい態度をとるようになると、北朝鮮もとても苦しくなる。
 米国などは、中国が本気になることで北朝鮮が話し合いの場に出てくることを望んでいる。

朝鮮中央テレビの映像を伝える大型ビジョンの写真
水爆実験の実施を発表する朝鮮中央テレビの映像を伝える大型ビジョン=6日、名古屋市
(C)朝日新聞社

水爆実験が行われたとみられる場所の地図
(C)朝日新聞社

北朝鮮の核実験に抗議して座り込む被爆者らの写真
北朝鮮の核実験に抗議して、原爆死没者慰霊碑前で座り込む被爆者ら=7日、広島市
(C)朝日新聞社

染田屋竜太さんの写真
解説者
朝日新聞国際報道部
そめりゅう

 

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