- 日曜日発行/20~24ページ
- 月ぎめ967円(税込み)
←2020年3月16日以前からクレジット決済で現在も購読中の方のログインはこちら
2016年6月19日付
政治資金や公用車の公私混同疑惑などで批判が高まっていた東京都の舛添要一知事が15日、辞職願を提出した。最大会派の自民党が不信任決議案を提出したため、可決が確実となり、自ら辞職を決断した。2代続けて都知事がカネに絡んで交代する異例の事態となった。
舛添氏の「政治とカネ」をめぐる今回の一連の問題は、今年2月に明らかになった高額な海外出張費が発端だった。航空機は最上位クラスを使い、ホテルはスイートルーム。昨年10月のロンドン出張では1泊19万8千円かけていた。神奈川県湯河原町の別荘へ公用車で行き来していたこともわかった。
5月には政治資金の使途でも問題が浮上する。家族旅行の費用を政治資金から支出していたことが明らかになった。知事就任前の2013年と14年、千葉県内のホテルに支払われた約37万円は、政治資金収支報告書に「会議費」と記載されていたが、実際は家族4人分の宿泊費だった。
その後も、政治資金を美術品や漫画本の購入費、イタリア料理店や回転寿司の飲食代などに当てていた疑惑が次々に浮上した。
舛添知事は疑惑について自身の言葉で具体的に説明せず、弁護士2人を雇って政治資金の支出について調査をゆだねた。今月6日に調査結果を公表した弁護士は、宿泊費や飲食費など多くの支出について「不適切」としながらも、「違法とは言えない」と繰り返した。
そもそも政治資金規正法に支出内容の是非について規定はない。疑わしい支出でも、正しく金額や支出先を記載し、「政治活動だ」と強弁されれば、違法性を認定するのは難しい。
14年2月に初当選した舛添氏は就任から約2年4カ月で知事を辞することになった。
調査結果を踏まえた都議会の質疑。各会派は政治資金の「公私混同」について詳細な説明を求めたが、具体的な説明をせず、「反省」を繰り返す舛添氏に、「説明責任を果たしていない」と反発を強めた。
13日の都議会総務委員会の集中審議でも、一問一答形式で追及したが、舛添氏は従来の説明を繰り返すばかりだった。
これで辞職は避けられないとの意見が一気に強まり、共産、民進など野党が不信任案を提出。与党の自民党も辞職を促したが、舛添氏は「応じられない」「今夏のリオデジャネイロ前に都政が混乱する」と辞職を拒絶していた。
知事選で舛添氏を支援した自民党は、世論の批判の矛先が自らに向けられつつあることから、「かばいきれない」と14日夜、不信任案の提出を決めた。参院選への影響を最小限に食い止めたい思惑もあった。
都選挙管理委員会は17日、知事選の日程について会議を開き、7月14日告示、31日投開票とすることが決まった。
前任の猪瀬直樹氏も選挙資金疑惑で13年12月に辞職した。
東京都議会本会議で退任のあいさつを終えて、発言台から降りる舛添要一知事=15日(C)朝日新聞社
解説者
小林恵士
朝日新聞社会部記者
記事の一部は朝日新聞社の提供です。