- 日曜日発行/20~24ページ
- 月ぎめ967円(税込み)
←2020年3月16日以前からクレジット決済で現在も購読中の方のログインはこちら
2016年10月30日付
女子ゴルフの日本一を決める日本女子オープン(9月29日~10月2日)で、茨城・ルネサンス高3年の畑岡奈紗選手が優勝した。17歳での優勝は最年少記録で、アマチュア選手の優勝は史上初。畑岡選手ら高校生にはプロ並みの実力選手が多く、「黄金世代」と呼ばれる。
4日間にわたる日本女子オープンで、3日目までの畑岡選手は5位だった。巻き返したのは、最終日の後半。難コースの中、正確なショットでぐんぐんスコアをのばし、並み居るプロを抑えて優勝した。
畑岡選手は母がゴルフ場の予約受付で働いていた影響で、小さい頃からゴルフに親しんだ。運動神経抜群で、地元の少年野球チームでは内野手として、中学の陸上部では短距離選手としても活躍。11歳から本格的にゴルフに取り組み、2015、16年に世界ジュニア選手権2連覇を果たした。
珍しい名前の由来は、人類初の月面着陸に成功した米航空宇宙局「NASA」から。「前人未到のことを成し遂げて欲しい」という願いが込められている。
日本女子オープン優勝の1週間後、プロとして活動することを発表した。18歳でプロになった宮里藍選手を抜き、女子で史上最年少ツアープロの誕生となった。記者会見では「2年以内に米ツアーで優勝して、5年以内にメジャーで勝てるようになりたい」と目標を語った。現在は来季からの米女子ツアー出場権をかけた予選会に参戦中だ。23日に2次予選会通過を決め、11月末から最終予選会に挑む。
日本女子オープンでは、畑岡選手の他に2人のアマ選手がトップ10入りした。西村優菜選手(大阪商業大学高1年)が6位、長野未祈選手(千葉・麗澤高1年)が10位だった。
同世代にはすでにツアーで活躍する選手もいる。14年KKT杯バンテリンレディスを15歳で制した勝みなみ選手(鹿児島高3年)、昨年アマ初の3週連続トップ10入りした新垣比菜選手(沖縄・興南高3年)らだ。
畑岡、勝、新垣の3選手には共通のあこがれがいる。03年の宮城・東北高3年時にプロになった宮里藍選手だ。畑岡選手は小学生の時に宮里選手の試合を見に行き、握手をしてもらったことがある。
「藍ちゃんになりたい」とゴルフを始めた選手は多い。日本ゴルフ協会のジュニア会員(小中高生)は1998年の4540人から、2007年は1万1219人まで増えた。
過去には韓国でも似た現象が起きている。1998年に全米女子オープンで優勝した朴セリ選手にあこがれた子どもたちは「セリ・キッズ」と呼ばれる。その中から、元米女子ツアー賞金女王の申ジエ選手や朴仁妃選手、昨年の日本女子ツアー賞金女王イ・ボミ選手が誕生した。
バブル期をピークにゴルフ人口が減ったことで、ジュニア向けの特別料金を設けるゴルフ場も増えた。プレーの敷居が低くなったことも背景の一つといえる。
キャディーを務めた母親の博美さん(右)と父親の仁一さん(左)の3人で優勝杯を手に笑顔を見せる畑岡奈紗選手
18番ホールでバーディーパットを決め、ガッツポーズをする畑岡奈紗選手=どちらも10月2日、栃木県の烏山城CC
どちらも(C)朝日新聞社
解説者
渡辺芳枝
朝日新聞スポーツ部記者
記事の一部は朝日新聞社の提供です。