朝日中高生新聞
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日本女子ゴルフ最年少、17歳ツアープロ誕生

2016年10月30日付

 女子ゴルフの日本一を決める日本女子オープン(9月29日~10月2日)で、茨城・ルネサンス高3年のはたおか選手が優勝した。17歳での優勝は最年少記録で、アマチュア選手の優勝は史上初。畑岡選手ら高校生にはプロ並みの実力選手が多く、「黄金世代」と呼ばれる。

日本女子オープンにアマチュア初、最年少で優勝

高3・畑岡奈紗選手、米ツアーに挑戦へ

 4日間にわたる日本女子オープンで、3日目までの畑岡選手は5位だった。巻き返したのは、最終日の後半。難コースの中、正確なショットでぐんぐんスコアをのばし、並み居るプロを抑えて優勝した。
 畑岡選手は母がゴルフ場の予約受付で働いていた影響で、小さい頃からゴルフに親しんだ。運動神経抜群で、地元の少年野球チームでは内野手として、中学の陸上部では短距離選手としても活躍。11歳から本格的にゴルフに取り組み、2015、16年に世界ジュニア選手権2連覇を果たした。
 珍しい名前の由来は、人類初の月面着陸に成功した米航空宇宙局「NASA」から。「ぜんじんとうのことを成し遂げて欲しい」という願いが込められている。
 日本女子オープン優勝の1週間後、プロとして活動することを発表した。18歳でプロになったみやざとあい選手を抜き、女子で史上最年少ツアープロの誕生となった。記者会見では「2年以内に米ツアーで優勝して、5年以内にメジャーで勝てるようになりたい」と目標を語った。現在は来季からの米女子ツアー出場権をかけた予選会に参戦中だ。23日に2次予選会通過を決め、11月末から最終予選会に挑む。

同世代に勝みなみ、新垣比菜選手ら

宮里藍選手にあこがれた「藍キッズ」?

 日本女子オープンでは、畑岡選手の他に2人のアマ選手がトップ10入りした。西にしむら選手(大阪商業大学高1年)が6位、ながのり選手(千葉・れいたく高1年)が10位だった。
 同世代にはすでにツアーで活躍する選手もいる。14年KKT杯バンテリンレディスを15歳で制したかつみなみ選手(鹿児島高3年)、昨年アマ初の3週連続トップ10入りしたあらかき選手(沖縄・こうなん高3年)らだ。
 畑岡、勝、新垣の3選手には共通のあこがれがいる。03年の宮城・東北高3年時にプロになった宮里藍選手だ。畑岡選手は小学生の時に宮里選手の試合を見に行き、握手をしてもらったことがある。
 「藍ちゃんになりたい」とゴルフを始めた選手は多い。日本ゴルフ協会のジュニア会員(小中高生)は1998年の4540人から、2007年は1万1219人まで増えた。
 過去には韓国でも似た現象が起きている。1998年に全米女子オープンで優勝したパクセリ選手にあこがれた子どもたちは「セリ・キッズ」と呼ばれる。その中から、元米女子ツアー賞金女王のシンジエ選手やパクイン選手、昨年の日本女子ツアー賞金女王イ・ボミ選手が誕生した。
 バブル期をピークにゴルフ人口が減ったことで、ジュニア向けの特別料金を設けるゴルフ場も増えた。プレーの敷居が低くなったことも背景の一つといえる。

母親の博美さんと父親の仁一さんの3人で優勝杯を手に笑顔を見せる畑岡奈紗選手の写真
キャディーを務めた母親の博美さん(右)と父親の仁一さん(左)の3人で優勝杯を手に笑顔を見せる畑岡奈紗選手

ガッツポーズをする畑岡奈紗選手の写真
18番ホールでバーディーパットを決め、ガッツポーズをする畑岡奈紗選手=どちらも10月2日、栃木県の烏山城CC
どちらも(C)朝日新聞社

渡辺芳枝さんの写真
解説者
わたなべよし
朝日新聞スポーツ部記者

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