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2018年4月8日付
スポーツ庁は3月、運動部の活動時間や休養日についてのガイドラインをまとめました。効率的な練習を求める内容ですが、現場の先生はどう感じているのでしょうか。入学・進級の季節。部活に入ったり、後輩ができたりする人もいるでしょう。みなさんも部活について考えてみませんか。(畑山敦子)
中学校の運動部の活動に関するガイドラインで初めて示されたのが、休養日や練習時間についての基準です。
部活動では原則、週2日以上休みを設け、平日と土日でそれぞれ1日以上休むことに。活動時間については、平日が2時間、土日が3時間程度とし、できるだけ短時間で効率的・効果的な活動をすることとしています。
高校の部活動でも、同じ基準を運用することを求めています。
基準ができたのは、教員の長時間労働の課題があります。教員の働き方改革を進めていく上で、負担とされている部活動を見直すことや、練習のしすぎが生徒の健康を損ねることなどが一部で問題となっていました。そこで、大学教授や教師ら有識者が話し合い、基準を決めました。
スポーツ庁の担当者は「すぐに全国の学校が対応するのは無理だとしても、自治体を通じてガイドラインが学校に伝わり、各学校が対応していくことで、過度の練習を抑止することにつながってほしい」と話します。
現場からは戸惑いの声もあります。神奈川県立相模原高校の野球部監督で体育教諭の佐相眞澄さんは「競技や部員数や希望に関係なく、一律に基準をあてはめると、必要な練習ができなくなる部活もある」と話します。
部員は昨年度が約80人、今も2、3年生で約60人います。平日の練習は3時間程度ですが、練習の前後には打撃練習のためのネットの準備やグラウンド整備などにも時間がかかります。「2時間では、全員が効果のある練習をすることは難しい」と話します。
休養日は平日に1日ありますが、夏の県大会が近付くこの時期は土、日とも練習試合ということもあります。
同校は部活がさかんですが、進学校でもあります。「練習の後、自習したり塾に通ったり、それぞれが工夫して両立しています。先生や生徒が部活を負担に感じているところは軽減すべきですが、部活がやりたくて高校を選んだ生徒や保護者のニーズに応えていく必要もあると思います」
朝中高特派員はどう感じているのでしょうか。
静岡県富士市立岳陽中・新2年の鈴木康峰さんは水泳部で、練習は週5日あります。「平日の練習は2時間。筋トレ中心でハードなので、ちょうどいいと感じています。部活では仲間といい関係が築けて楽しいけれど、それ以外にやりたいこともあるので、部活だけにはしたくないです」
横浜市の横浜隼人高・新3年の高坂梨音さんはソングリーディング(チアダンス)部で、平日は約2時間、土日は約4、5時間練習しています。「全国大会を目指しているので、基礎から演技まで練習するとある程度、時間は必要。勉強などとの両立はもちろん大事ですが、練習時間を制限するのは非現実的だと思います
記事の一部は朝日新聞社の提供です。