朝日中高生新聞
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1面の記事から

「卒業」して次の一歩へ 1ミリでも前進

2015年3月15日付

福島県いわき市のご当地アイドル ベイビーティアラ

 卒業シーズンも大詰め。今春、高校卒業予定者は全国に約107万2千人。東日本大震災の東北被災3県には約5万人がいます。福島県いわき市には、被災者に歌やダンスで元気を届けようと活動した高校生もいます。その一人、日向ひなたさん(18)は進学のため、この春「卒業」します。(今井尚)

被災者に元気届けたくて活動

 日向さんたちは2014年4月からチャリティーユニット「ベイビーティアラ」として仮設住宅や復興関連のイベントなどで、のべ50回近くステージに立ってきました。乃木坂46に楽曲を提供するきたむろりょうさんが手がけた「夢iroまかろん。」をはじめ、オリジナルは全4曲。ライブやグッズなどの収益は、被災者支援のNPO法人に寄付してきました。
 6人で始めたメンバーは、次世代メンバーも含め現在9人。地元での定期ライブに加え、最近は東京都内のイベントやご当地アイドルが集まるコンサートなどにも声がかかるようになりました。

 震災当時、日向さんは中学2年生。ある日、新聞で「震災遺児」の記事を読みました。「家族を亡くした、自分と同年代の子が、とても前向きな言葉を語っていました」
 自分に今できることは何かと考え、アイドル活動に行きつきました。
 日向さんの幼なじみの楠木くすのきさん(18)は当初、どういう気持ちで活動したらよいか分かりませんでした。でも、あるイベントで、女性の観客から「元気をもらいました。本当にありがとう」と泣きながら感謝され、「まちがいじゃなかったんだ」と確信しました。
 楠木さんは看護学校に進みます。「どうしたら人の役に立てるか。これからも考えていきたい」と話します。日向さんは大学の法学部に進学。被災地の問題や政治を学びながら、「いつか子どもたちにもわかりやすく伝える仕事がしたい」。

 ベイビーティアラは今後も活動を続けるといいます。日向さんは将来を引きつぐ後輩に、こんな言葉を伝えました。「自分たちの活動に誇りを持ってほしい。努力をすれば絶対成長する。1ミリでも前に進んでほしい」
 ※名前はすべて活動名です。

ベイビーティアラの日向心愛さん(右)と楠木華瑠さんの写真
被災地支援のアイドルとして高校時代を過ごし、先日「卒業」したベイビーティアラの日向心愛さん(右)と楠木華瑠さん=福島県いわき市のいわき・ら・ら・ミュウ

福島県いわき市の地図

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