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2015年5月31日付
陸で大型恐竜が繁栄していた時代に、海で最も危険といわれた肉食の大型爬虫類、モササウルス類。灘高校(兵庫県)の生徒があごの化石を発見し、今月、大阪市立自然史博物館に寄贈しました。(寺村貴彰)
モササウルス類はトカゲやヘビの仲間です。6600万年以上前、海を支配していました。15メートルを超えるものもいます。化石は縦約6センチ、横約14センチ、幅4センチ。生え変わる(未萌出)歯の痕跡がはっきりと見られます。
見つけたのは地学研究部の村尾光太郎さん(高2)と三嶋慶彦さん(高3)です。昨年9月、大阪府泉南市にある中生代白亜紀末期(約7千万年前)の地層を調べたとき、三嶋さんが「怪しい石」を拾いました。村尾さんは「恐竜の化石かも」と思い、顧問の野村敏郎先生が大阪市立自然史博物館に調べてもらいました。
5年前、同じ地域で国内最大級のモササウルス類のあごの一部が見つかっています。形が似ていたため、二つの化石の断面を合わせたところ、見事に一致。博物館は同じ個体と判断しました。これまでは全長8メートルと推定されていましたが、今回の発見であごがより大きかったとわかり、頭は確実に1メートル以上、全長は10メートル以上と判明しました。
調査に関わった大阪市立自然史博物館の林昭次さんは「海の中に、大きな生物を支えるだけの豊富な資源があったことがわかる」と説明します。
発見した化石が新種と判明したら、論文を書き、専門の学会誌などに発表します。二人は第一歩として、モササウルス類に関する専門書を読み、発見の経緯を今年1月、日本古生物学会の高校生ポスターセッションで発表。奨励賞を受けました。
あご以外の骨も眠っている可能性があります。地学研究の道を志す村尾さんはさらに調査し、「珍しい全身の化石を見つけたい」と意気込みます。
モササウルス類の復元図=小田隆/きしわだ自然資料館提供
見つかった化石。生え変わる歯のあとがくっきりと残っています
モササウルス類の化石を手にする村尾光太郎さん(右)と三嶋慶彦さん=神戸市の灘高校
モササウルス類と人間の大きさ比べ=神戸市の灘高校
記事の一部は朝日新聞社の提供です。