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パレスチナ問題って何?

国際編;小倉いづみ記者(朝日新聞外報部)

ポン

ねえねえ、テレビに戦車がうつっていたよ。どこのこと?

小倉記者

パレスチナよ。地中海東岸、「中東」とよばれるところにあるの。そこでイスラエルという国の人とパレスチナの人が戦っているの。

ジャン

土地を取り合ってけんかしているって、パパに聞いたわ。

小倉記者

う〜ん、パレスチナ問題はもっと複雑なの。

ケン ふくざつ?

−ジャンやケンは、『アンネの日記』という本を知ってる?

ジャン  読んだわ。第二次世界大戦中、ユダヤの人たちは強制収容所に入れられ、ガス室で殺されたり、無理やり重労働させられたりしたって。ひどいよね。でも、この戦いと関係あるの?

―法イスラエルはユダヤ人の国なの。大昔、このあたりにあった国をローマ帝国にほろぼされたユダヤの人たちはヨーロッパ各地にちらばった。ユダヤの人たちは移り住んだ土地で差別されたそうよ。

ケン なぜ?

―理由なんかないんじゃないかな。でも、ユダヤの人たちは、自分たちが安心してくらせる国がほしいとずっとねがってきたの。
 そして第一次世界大戦のとき、イギリスにお金を貸すのと引きかえに、ユダヤ人の国をパレスチナにつくるのを助けてもらうと約束したの。パレスチナにはアラブ人が住んでいたんだけど。

ジャン イギリスは、他人の土地を勝手に交換したのね。

―結局、イスラエルは第二次世界大戦後の1948年にパレスチナに国をつくった。家や土地をうしなったアラブ人たちはおこった。それから両者は、戦争をくり返してきたの。

ポン 仲直りできないの?

―93年にノルウェーのオスロでイスラエルとパレスチナの代表が、土地を分け合って仲よくくらそう、と約束をした。それでパレスチナが国としてととのうまでの仮の政府「パレスチナ暫定自治政府」ができた。

ジャン でも、どうしてまだ戦っているの。。

―この争いには宗教がからんでいるの。キリスト教、ユダヤ人が信じるユダヤ教、パレスチナの多くの人が信仰するイスラム教はみんなこのあたりで生まれた兄弟のような宗教なの。イスラエルの首都エルサレムには三つの宗教の聖地がある。

ポン へぇー。

 ―それぞれの聖地は、信者にとってとても大切な場所なの。だけど、2000年9月にイスラエルの政治家でユダヤ教徒のシャロン氏がイスラム教の聖地を無理やりおとずれ、パレスチナの人たちがおこった。

ケン また戦いが始まったんだね。

 ―そう。01年3月に、そのシャロン氏がイスラエルの首相にえらばれた。そして、去年8月にはパレスチナのリーダーのひとりが暗殺されたの。仕返しにパレスチナ側がイスラエルの大臣を暗殺して、またイスラエルが仕返しして……。

 ケン 話し合いをしないの?

−いまは、むずかしそうね。イスラエルはラマラで、パレスチナ自治政府のアラファト議長をビルの中に閉じこめたの。仕返しのテロの黒幕は議長だと考えたからよ。そのアラファト議長は「シャロンのしていることこそテロだ」とおこっている。

 ポン 仕返しばかりしていたら、仲直りできないよ。

 ―そうね。イスラエルができる前はユダヤ人もアラブ人もいっしょにくらしていた。日本みたいに中立の国が仲直りの手助けをしなければね。

(2002年4月6日)


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