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なぜ? アテネは「女性の五輪」

大野 宏記者(朝日新聞スポーツ部)
ポン

 アテネオリンピック、日本選手はメダルを何個取れるかな?

ケン

 有望といわれているのは、水泳や柔道、女子マラソン、女子レスリング……。

ジャン

 女子のレスリングって、今回初めてオリンピックの種目になったんでしょう?

大野 記者

 そう。レスリングは2800年前にギリシャで行われていた古代オリンピックからある古い種目だけど、女子が出るのは初めてだよ。「女性のオリンピック」といわれる今回のアテネ大会を象徴するできごとかもね。

 女子選手の参加ふえ初めて4割こえる

 1回目はゼロ、初参加はテニスとゴルフの12人

 ケン 何で「女性のオリンピック」なの?

 ―― 今回の女子選手の参加数は全体の44パーセントになる見こみ。初めて40パーセント台に乗ったんだ。前回2000年のシドニー大会では38.2パーセント。1984年のロサンゼルス大会までは大体20パーセント前後だったから、この20年で一気にふえたことになるね。

 ジャン 108年前、最初の近代オリンピックがアテネであったときはどうだったの?

 ―― 女子選手はゼロだった。

 ポン ひとりも出なかったの?

 ―― 1896年のむかしだからね。女の人は家にいるのが当たり前で、スポーツをすることはいいことだと思われなかったんだ。古代ギリシャのオリンピックも女の人の参加を禁止していたからね。

 ケン 古代は出ちゃダメだったの?

 ―― 出るのはもちろんダメ。結婚した女の人は見るのもダメだったんだ。男の選手はみんな裸で競技をしてたしね。

 ポン えーっ。

 ―― いまのオリンピックに話をもどすと、1900年のパリ大会にテニスとゴルフに12人の女性が参加したのが初めて。ただオリンピックの華といわれる陸上競技への参加は、28年のアムステルダム大会まで待たないといけなかった。日本の女子選手の初参加もこのときで、人見絹枝選手が800メートルで銀メダルを取っているよ。

日本選手は女子が半数をこえ、メダルの期待もふくらみます。今大会から正式種目になった女子レスリングの浜口京子選手(写真上)。バレーボール女子日本代表(写真左上)。ソフトボール日本代表(写真左下)

 競技種目は男子なみに
 日本は半数上回る171人

 ケン 女子の参加が目立ってふえ始めたのはいつから?

 ―― 84年のロサンゼルス大会だね。当時の国際オリンピック委員会のサマランチ会長が、女子が参加できる競技や種目をどんどんふやしたんだ。ロサンゼルスでは女子マラソンが初めて行われ、92年のバルセロナから柔道が、96年のアトランタからはサッカー、2000年のシドニーからは重量挙げで女子の競技が始まった。
 アテネで男子だけの競技は野球とボクシングだけ。女子だけのソフトボールを野球とセットで考えると、実質ボクシングだけだね。

 ジャン どうしてふえたのかしら。

 ―― スポーツをする女の人がふえたことが一番。結婚しても競技をつづけることが当たり前になってきたしね。

 ケン 日本の選手団は?

 ―― 今回は男子141人、女子171人。女子が男子より多くなったのも初めてだし、人数も史上最多なんだ。

 ポン 女子が強いの? 男子が弱いの?

 ―― きびしい質問だね。団体の球技で日本の男子が予選を突破したのは野球とサッカーだけ。女子が出るバレーボールもバスケットボールもホッケーも、男子は全部負けちゃった。
 また女子選手がスポーツに専念できるのは経済にゆとりがあって、社会に出て働くことに理解のある国だけ。女子マラソンの優勝候補のひとり、ケニアのヌデレバ選手でも、学校を卒業しても競技をつづけることをずいぶん反対されたんだって。日本の女子選手は環境の面でもめぐまれている、といえるかな。

(04年8月14日)


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