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●台風って何?●

瀬川 茂子記者(朝日新聞科学医療部)
ケン

 アメリカ南部で、ハリケーン「カトリーナ」の大きな被害が出たのって、去年のいまごろだったよね。

瀬川 記者

 そうだったわね。

ジャン

 日本もそろそろ本格的な台風シーズンなんでしょう。

瀬川 記者

 ええ。おととしは過去最高の十個の台風が上陸して、たくさんの被害が出たわ。きょうは、台風の基本的なことを調べてみましょうか。

ポン

 うん。台風はどうしてできるの?

南の海で生まれ海上で成長する強い風の渦巻き

上陸は八・九月に多い
年間の平均で約三個

 


イラスト・たなかさゆり

  ――台風の誕生に必要なのは表面の温度が高い海。海面で上昇気流(上に向かう空気の流れ)ができ、気流にふくまれる水蒸気が上空で冷えて水滴になり、雲ができるのよ。水滴になるときに熱を出すので、空気はあたためられて軽くなり、さらに上昇するわ。

 ケン 大きな雲ができるんだね。

 ――そう。あたたかい空気は密度が小さいので気圧が低くなるの。空気は気圧の低いほうに集まるので、中心に向かって巨大な渦巻き状の雲ができるのよ。でも中心部は「台風の目」とよばれ、雲がほとんどなく雨も少ないの。

 ジャン 渦巻きの向きって決まっているの?

 ――北半球では反時計回りになるのよ。なぜかというと、渦には地球の自転にともなう力が働いて、中心に向かってふきこむ風が、右方向へ曲げられてしまうからなの。

 ポン 渦巻きはどんどん大きくなるんだよね。

 ――ええ。台風の一生を人間にたとえると、南の海で生まれた赤ちゃん台風は、海面から出るしめった空気を栄養として、どんどん成長するの。日本のそばにきたとき、海ぞいに進んでいるような台風は勢力がおとろえにくいわ。でも上陸すると、海からのしめった空気の栄養補給がたたれておとろえるの。

 ジャン ハリケーンって台風とはどこがちがうの?

 ――台風もハリケーンもでき方は同じよ。同じ南の海でも、大西洋と東太平洋でできたものはハリケーン、南西インド洋のは熱帯サイクロンとよばれるのよ。日本では、北西太平洋で発達した熱帯低気圧の風速が毎秒17メートルをこすと、台風とみとめているわ。

 ポン 風速17メートルってどれくらいの風?

 ――風に向かって歩けないくらい強い風。毎秒25メートルをこすと、大人も立っていられないくらいの風よ。

 ケン なぜこの時季、台風が多いの。

 ――春の台風は赤道近くの南の海で発生し、西に進んでフィリピン方面に向かうの。夏は台風の発生する場所が少し北になり、日本の南にある太平洋高気圧のまわりを回って、日本に向かってくる台風がふえるのよ。
 8月は台風を流す上空の風が弱くて、経路は不安定になりやすいけれども、発生数は一番多いそうよ。上陸数でみると、8、9月が一番よ。

 ジャン 何個くらいくるの。

 ――1971年から2000年の平均で、年約27個が発生。そのうち年平均約3個が日本に上陸したんですって。上陸しなくても、平均で約11個が日本から300キロ以内に近づくそうよ。

洪水や土砂くずれなど
日ごろから安全確認を

 

 ケン 遊園地に行くはずだったのに、台風でやめたことがあったよ。飛行機がとばなくて、お父さんが出張からもどってこられなくなっちゃったから。

 ――台風で、飛行機や船がとまることは多いわね。電車やバスも運休したり、ゆっくり走ったりするしね。遊園地もお休みだったかもしれないわ。強い風で看板がとんだり、木がたおれたりしたらあぶないでしょ。

 ポン 水びたしになった家をテレビで見たよ。

 ――台風の大雨で海や川の水をせきとめる堤防がこわれて、洪水や浸水も起こるし、土砂くずれや地すべりが起こることもあるわね。ハリケーン「カトリーナ」のときには、高潮で堤防がこわれて町中が水につかってしまったわ。

 ジャン お母さんは、台風のときに買い物にいかなくていいように、天気予報を見て、先にまとめて買い物してたわ。

 ――天気予報に注意することは大切ね。でも日ごろから、自分の家がどんな場所にあって、どんな予想される災害があるのかを調べておくことも必要よ。
 海のそばなら、高潮の危険はないのか、川のそばなら洪水はどうか。災害時の危険をしめすハザードマップなども見て、避難場所を確認しておくと、いざというときにあわてなくてすむと思うわ 。

【きょうのポイント】
 ▽台風は北西太平洋で生まれ、海面からのしめった空気で大きく成長していく。北半球では、時計と反対回りに渦(うず)を巻いている。
 ▽8、9月は上空の風と日本の南にある太平洋高気圧の関係で、日本に上陸する台風がふえる。台風の年間平均上陸数は約3個。
 ▽台風は、洪水や浸水、土砂くずれなどの被害をまねく。自分の住む地域で予想される災害を知り、避難場所を確認しておくことが重要。

(2006年8月26日)


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