朝日小学生新聞
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中学受験に役立つ

中学入試には時事問題がこんなに!

より広い視野で世界をみる

 中学入試で多くの学校が出題する「時事問題」。注目を集める出来事をたずねたり、ニュースに関連する学習内容を出題したりします。朝日小学生新聞編集部は全国の国立・私立中学のうち50校の入試問題を分析し、2013年度はどんなテーマがよく取り上げられたのか調べました。朝小の記事がヒントになる出題もありました。

「天体」動きを頭でイメージ

 分析したのは首都圏や東海、関西などの50校(計75の入試が対象)。12年度の入試では「世界遺産(平泉と小笠原諸島の登録)」「東日本大震災(原子力発電をふくむ)」が大きな柱でしたが、13年度はこのふたつはもちろん「天体」「選挙」「国際連合」「日本の領土」など幅広い分野からの出題がめだちました。より広い視野で世の中の動きをみる姿勢が求められたといえそうです。
 「金環日食」「金星の太陽面通過」など12年は多くの天文現象に注目が集まり、30近い入試で取り上げられました。
 「現象名を答える」(東京・大妻中や神奈川・日本女子大学付属中など)、「金環日食を観測するとき、目によくないもの(危ないこと)を選択」(東京・中央大学付属中や兵庫・神戸女学院中など)をはじめ、入試の定番である日食や月食のときの太陽・地球・月の位置関係を問う出題がめだちました。早稲田中(東京)が金星の位置が変化することで、地球からみたときの金星の大きさや形がどうなるかを出題したように、上位校では天体の動きを頭のなかでイメージしたうえで答える問題もありました。
 アメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査機(車)「キュリオシティ」も5つの入試で取り上げられました。東邦大学付属東邦中(千葉)などは探査する惑星と探査機の名前を出題。麻布中(東京)では、キュリオシティの着陸方法について5種類の図から正しいものを選択させました。

2012年に話題になった天文にかんする出来事をまとめた紙面(12年10月14日付)

2012年に話題になった天文にかんする出来事をまとめた紙面(12年10月14日付)

「選挙」「国際連合」も多数で

 「選挙」関連は約30の入試で出題。衆議院・参議院議員の任期や定数といった頻出事項はもちろん、12年末に衆議院の解散、総選挙があったことから市川中(千葉)などのように「内閣は~○日以内に衆議院が解散されないかぎり○○○をしなければならない」といった穴埋め問題もありました(正解は10日以内、総辞職)。浦和明の星中(埼玉)や青山学院中(東京)などは「一票の格差(重み)」について出題。筑波大学付属駒場中(東京)は、比例代表選挙で各政党の得票数に応じて議席を配分する計算方法「ドント式」などを題材に、架空の政党の獲得議席数を求める問題を出しました。

 25以上の入試が取り上げたのが「国際連合」。雙葉中(東京)は安全保障理事会の常任理事国だけが行使できる「拒否権」を記述させました。特に多かったのが「国際司法裁判所」にかんする出題で、名称(東京・豊島岡女子学園中など)や本部があるオランダの都市ハーグ(茨城・江戸川学園取手中など)が問われました。
 国際司法裁判所が注目された背景には、竹島(島根)や尖閣諸島(沖縄)をめぐる韓国や中国との領土論争があります。「日本の領土」について「日本の東西南北の端の島」(鹿児島・ラ・サール中など)や「沖ノ鳥島の護岸工事の理由」(千葉・専修大学松戸中など)といった出題がありました。
 また、国際連合の前身の機関である国際連盟の事務局次長をつとめた人物として「新渡戸稲造」を答えさせる問題も頻出(愛知・南山中女子部や大阪・高槻中など)。12年が、新渡戸稲造が生まれて150年だったことなどが、その理由かもしれません。


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