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総理への階段、順調に上れるか
いま政治の世界で最も注目を集めているのが、自民党の小泉進次郎衆議院議員（３１）です。皆さんには「おじさん」に映るかもしれませんが、６０歳代以上が権力を握ることの多いこの世界では、圧倒的に若いのです。どこへ行っても人が集まる人気者。なぜでしょう。
毎月１１日には東日本大震災の被災地巡りをしています。人気者で、どこに行っても人だかりができます＝２０１２年１０月１１日、岩手県宮古市で撮影©朝日新聞 |
Ｑ ある雑誌の特集「期待する政治家」調査に、小泉進次郎さんが出ていたよ。
Ａ 「首相にしたい政治家」でも名前が出てくるぐらい、国会議員の中では人気があるんだ。国民が求めていることを、歯切れよく代弁してくれると思われている。
先輩である自民党幹部に対しても「主張するべきは主張する」との姿勢を貫いているから、受けているんだろうね。テレビ局の人も「取り上げると視聴率が上がる」って言っていたな。
Ｑ 政治家として何か実績はあるのかな？
Ａ ２０１２年２月から、毎月11日に東日本大震災の被災地を巡っている。地元の人たちから直接話を聞き、復興を加速しようと取り組んでいるんだ。これまでは野党だったからできることは限られていた。与党になったし、次は実行力が問われることになるね。
Ｑ 被災地は１人で行くの？
Ａ いや、自民党に進次郎氏が局長を務める青年局という組織がある。45歳以下の国会議員約80人が入っていて、「ＴＥＡＭ―11」を組織し赴いている。どこへ行っても人が集まるね。
Ｑ 自民党といえば派閥政治とかいわれるけど、どこかに属しているの？
Ａ 派閥は「古い自民党の象徴」といって批判しているんだ。ためらわずに自分が所属する自民党批判を口にするのが、「進次郎流」でもある。
国民には、「自民党をぶっ壊す」といって首相になった父・純一郎氏と二重写しになるんだろうね。国会で何度も自民党批判をしている。ちなみに国会での発言はネットの「国会会議録検索システム」（kokkai.ndl.go.jp）を使い、「小泉進次郎」で検索すればすぐに調べられるよ。
Ｑ 代々政治家だと、「世襲議員」と批判されるんじゃなかったかな？
Ａ 政治家４代目だね。曽祖父と祖父も大臣を務めたんだ。父の地盤（神奈川県横須賀市を中心とした選挙区）を譲ってもらい、２００９年の総選挙で初当選した。
民主党が政権に就くまでは、「世襲議員は苦労知らずだから政治家には向かない」などと言われてきたけど、世襲議員が少ない民主党でも政権運営がひどく、「仕事をしてくれればいい」と風向きが変わってきた。
Ｑ 政治家になるまでは何をやってきたのかな。
Ａ プロ野球選手を目指して高校３年まで野球をやり、１番セカンドだったんだ。大学は普通に学生生活をしていたみたい。父の後を継ぐことを決めて、米留学や父の秘書を務めて政治の勉強をしてきた。
Ｑ 国会議員はなりたくてもなれるもんじゃない。恵まれているね。
Ａ お金も地盤も人脈も小泉家が積み上げてきたものをたくさん受け継いでいる。周囲に「苦労もせずに」とやっかみがあるのは確かだ。言うべきは言うけど、本人もそれを承知で先輩を立てるなど、頭を低くしている。辛口で知られるある自民党議員も「彼は謙虚だ」とほめていたよ。
Ｑ 今後はどうなるの。
Ａ 政治は数だから、人が集まり、発言力が増すことで実行力が伴っていく。一つ一つ階段を上ることで「総理の座」も見えてくるのだろう。
ただ人気があっても、スキャンダル一つで人が離れていき、未来が奪われるのが政治の世界。まったく気が抜けないね。
【小泉進次郎氏のあゆみ】 １９８１年４月１４日、小泉純一郎元首相の次男として誕生。関東学院大経済学部卒業、米コロンビア大芸術科学大学院修了。２００７年９月、純一郎氏の秘書になる。後継者として指名され、０９年８月の衆院選で初当選（１２年１２月に再選）。現・自民党青年局局長。
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小泉家 進次郎氏で４代続けての衆院議員となる政治家一家。曽祖父の又次郎氏（１８６５〜１９５１）は逓信相（現総務相）、祖父の純也氏（１９０４〜６９）は防衛庁長官（現防衛相）、父純一郎氏（１９４２〜）は厚生相（現厚生労働相）、郵政相（現総務相）、２００１〜０６年には首相を務めた。
進次郎氏の政策 自民党内を二分している環太平洋経済連携協定（ＴＰＰ）には、早期に交渉参加するべきだとの立場をとる。憲法改正にも前向きだ。
だが現在は個別の政策よりも、若手をまとめて自民党の「体質改善」を図ることに力点を置いている。
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『週刊朝日』編集部 渡辺哲哉
１９７３年生まれ。９９年から朝日新聞記者。 ２００４年に政治部。首相官邸や自民党、政権 交代後は民主党を担当。０７年〜０９年の大 阪社会部在籍時には、橋下徹府知事を取 材した。現在は『週刊朝日』の政治担当。
2013年2月10日 |
