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キーワードで読む世界の10大ニュース
グローバル化のひずみと勢力変動のきしみ
この1年、世界ではいろんなことが起きました。今回は私なりの「2014年の10大ニュース」を三つのキーワードで読み解いてみます。歴史の流れのなかで、世界が大きく変わる転換点を私たちは体験しているのではないか。そんな視点の読み解きです。
キーワード(1) イスラム、アフリカ
まず、「イスラム国」という武装組織が、中東のイラクやシリアでぐんと勢力を広げたことに注目したい。イスラム教を厳しく守る国をつくろうとし、従わない住民たちを殺すなどした。女性にも厳しく教育も仕事をするのも認めない。
キーワード(2) 冷戦が終わって25年
「冷戦」とは、第2次世界大戦が終わった後、米国を中心とする資本主義グループと、ソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)率いる社会主義グループが、世界を二分して対立したことだ。武力は使わないが、冷たい関係だから「冷戦」。25年前に社会主義の経済がうまくいかなくなってソ連組が降参して終わった。ソ連もバラバラになった。
キーワード (3) 第1次世界大戦開戦から100年
開戦のきっかけとなった事件の追悼式が6月にベルギーであった。この大戦に注目するのはこれを機に「アメリカの時代」が始まったから。米国は戦争で豊かになり、経済、やがて政治でも世界のリーダーになった。それが100年後のいま、陰り始めている。「米中間選挙でオバマさんの民主党大敗」も、そんな陰りへの不満が一因だろう。 米国に代わろうと世界に乗り出しているのが中国。100年に一度の変動のきしみが、「南シナ海で中国が勢力拡大」しベトナムなどと対立したり、領土で日本と対立したりにつながっている。「香港で民主選挙求め『雨傘革命』」と呼ばれる学生たちの抵抗が起きたのも、大国・中国との摩擦といえる。 いま世界の金融や途上国の開発は、国連系の機関を通じ米欧日などの主導で行っている。「中国主導の国際金融機関設立で合意」は、こうした面でも中国が中心になるシステムを作ろうという試み。さあ、100年後に生き残るのはどちらだろう――。そんなことを考えながら新しい年を迎えるのは気が重いかな。
元朝日新聞編集委員 大妻女子大教授 五十嵐浩司 1952年生まれ。朝日新聞大阪社会部、 外報部を経てナイロビ支局長、ワシン トン特派員、ニューヨーク支局長を歴 任。大学や大学院でジャーナリズム論 や国際政治を教える。
2014年12月21日 |
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