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2017年6月23日付
木村記者 きょう23日は沖縄の「慰霊の日」だって知っているかな。
ケン 知らなかった。
木村記者 太平洋戦争で、国内最大の地上戦があったのが沖縄。「慰霊の日」には、毎年20万人あまりの沖縄戦の犠牲者に祈りをささげる。
ジャン 沖縄には基地の問題もあるよね。
木村記者 アメリカ(米)軍基地の建設で、名護市辺野古では今年の春に、海のうめ立てが始まった。心を痛める県民が少なくない。
ケン 沖縄の地上戦について教えて。
――1945年3月末から約3か月、沖縄に上陸した米軍と日本軍が、多くの住民を巻きこみながら激しい戦闘をくり広げたのが、沖縄戦だ。県民だけで約12万人、4人に1人が亡くなったとみられているが、戸籍も焼けてしまい、詳しい数字はわかっていない。
ポン それで「慰霊の日」ができたんだね。
――「慰霊の日」の6月23日は県の休日にもなっている。特に多くの人が亡くなった沖縄本島南部にある平和祈念公園(糸満市摩文仁)では毎年、「沖縄全戦没者追悼式」が開かれている。たくさんの人が亡くなった人たちに思いをはせている。
ケン 基地の問題はどうなっているの。
――いまの米軍基地問題は、70年以上前の戦争ともつながっている。沖縄に上陸した米軍は、日本軍と戦っている最中から、基地の建設をスタートさせていた。普天間飛行場(宜野湾市)も、その一つだ。
ポン 普天間飛行場?
――普天間飛行場は市街地の真ん中にある。日本にある米軍基地(専用施設)の7割が集中しているんだ。95年、小学生の女の子が3人の米兵に暴行される事件が起こると、日米両政府は翌年、沖縄の負担を減らそうと、普天間を返還することで合意した。
ケン よかった。
――簡単には喜べないよ。普天間を同じ沖縄県内のどこかに移設するならば、返還するという条件だったんだ。負担を減らすことにならない、という受け止めが地元に強く、計画はさまざまな課題に直面した。
ジャン 結局どうなったの。
――複雑な経緯をたどった結果、日米は、キャンプ・シュワブという米軍基地がある名護市辺野古の沿岸部に移設することに決めた。4月25日、その波打ち際にくだいた大きな石を置き、海をうめ立てる護岸工事を始めた。
日本政府は「普天間の全面返還を実現する確かな一歩」(菅義偉官房長官)と説明した。しかし、「辺野古に新たな基地は造らせない」とうったえて県知事になった翁長雄志さんは「県民との約束を実現する」と主張。国の工事は県の規則に違反しているとして、差し止めを求める裁判を起こす考えも明らかにした。普天間返還も、辺野古の工事も今後どのようになるかわからない。
ジャン 難しい問題だね。
――戦後72年。戦争で深く傷ついた島に、多くの米軍基地が残っている。最近の研究では、沖縄戦で地獄のような光景を目にしたり、家族を亡くしたりして生き残った人たちが「心の傷」をかかえていることが明らかになってきた。基地の存在が、かさぶたをはがすようにしてその傷をさらに痛めている、と指摘する専門家もいる。
記事の一部は朝日新聞社の提供です。