神奈川県川崎市の南菅小は、教科書や資料集と並ぶ「資料」として、新聞をふだんの授業の中で活用しています。5年生の社会科の「自動車づくりにはげむ人々」の単元では、自動車会社がどのように消費者の要望にこたえているのか、子どもたち一人ひとりが新聞記事から探し出しました。
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いっせいに自動車にかかわる記事を探し始めました=神奈川県川崎市の南菅小で |
自動車の記事見つけ考える
「じゃあ、始めてください」と天正裕史先生が指示を出すと、5年2組の29人の子どもたちはガサガサッと大きな音を立てて、いっせいに手元の新聞を開きました。「自動車会社はお客さんの要望にどうこたえているか」がわかる記事を探す課題です。
授業の前半の話し合いで、自動車には交通事故や排ガスによる温暖化といった問題点があるとわかりました。消費者は「安全」で「環境にやさしい」自動車をもとめているという結論から、これらの要望に合った製品を自動車会社が売り出しているかを調べます。
ふだん社会科の授業中の調べ学習では教科書や資料集を使いますが、この日は天正先生が「新しいこと、これからのことを知るには新聞が有効です」と説明し、一人一部、全員ちがう日付の朝日新聞を配りました。
会社の新製品や生産にかかわる情報が載っているのは経済面。何面にあるのか1面のインデックス(目次)で見てから探しました。
「リッター61キロのハイブリッド車だって!」「リッターって何?」「たぶん、1リットルのガソリンで61キロメートル走るってことだよ」「こっちの記事は30キロって書いてある。61キロってすごいね」「でも高いんでしょ?」
班ごとにこんな会話をしながら、自分が見つけた記事をノートに写しました。
調べる時間が終わると、手を挙げて発表しました。排ガスを出さず「環境にやさしい」といえる電気自動車や、燃費のよいハイブリッド車に関する記事が多く、事故の衝撃をやわらげるエアバッグが四方から出てくる「安全」な車も開発されていました。
天正先生は「自動車会社はわたしたちの要望以上の便利な車を開発していますね」とまとめました。
クラスで新聞係をしている緒方さんは「電気自動車のことはテレビのコマーシャルでしか知りませんでした。今度は新しいエコな発電についてもっと知りたい」と話しました。新聞記事の要約を日課にしている小島夕くんは「新しい車の開発だけでなく、外国との貿易とのことも調べてみたい」といいます。
天正先生は「新聞は情報を得るための手段。資料の一つとして自然な流れで使えるように授業を組み立てています」。校長の田島操先生は「新聞について勉強しよう、と構えるのではなく、リラックスして使うことで、ふだんの生活に定着していけば」と期待しています。
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