楽しく学ぼう新聞教室

朝日中学生ウイークリー

 

記事読んで川柳作ろう

 

 

 

 学校で教える内容をまとめた学習指導要領で「新聞の活用」がうたわれ、これから授業で新聞を使う場面が増えてきます。新聞はどのように使われているのでしょう。今週から、小学校のさまざまな活動を紹介します。

 

 

 

 

社会や人生、五七五にこめ

 

 東京都大田区の東調布第一小学校6年2組は国語の時間、新聞記事を読んで川柳をつくる「時事川柳」作りに挑戦しました。川柳とは、五七五のリズムでよむ短い詩のことで、人生や社会のできごとをユーモアや皮肉を交えて表現します。
 子どもたちは短冊に言葉を連ね、できた子から発表していきます。
 

 原発の いかりを出さずに 一時帰宅――。こうよんだのは日向野くん。東京電力福島第一原子力発電所の事故で20キロ圏内の住民が一時的に自宅に帰った記事を読み、たとえ一瞬でも住民が原発のことを忘れられたらという願いをこめました。「いま起こっている世の中のことがわかるから、もっと新聞を読もうと思いました」といいます。
 

 田辺さんは「いろんな人が作る川柳を聞きながら、何のことをいっているのか想像して、『あ、あのことか』とイメージするのが楽しかったです」。
 

 担任の佐野一道先生が新聞を使った授業を始めたのは4年前。子どもたちに世の中への関心を高めてもらおうと、新聞を読んで感想をまとめさせたり、意見を発表させたりしてきました。さまざまな言葉の使い方が身につくといいます。
 

 時事川柳の授業は今年度から。「五七五におさまらなくても、皮肉やユーモアがなくてもいい。川柳を作ることで新聞に親しんでもらい、学校の授業と世の中で起きていることがつながっていると感じてほしい」
 この授業をもとに今後、朝自習の時間に毎日2人ずつ川柳を考え、みんなの前で発表するといいます。
 笠原英樹くんは「クイズに答えるように言葉を考えるのが楽しい。これからは新聞を読んだとき、ぱっと川柳が思いうかんだらいいなと思いました」。

 

 

【子どもたちが作った川柳】


 災害後 花を咲かせる 人々は
(がれきから思い出の品を探す人々の写真を見て、見つかったら心に花が咲くと思って 笠原くん)
 

 平泉 世界遺産に 登録だ
(平泉が世界遺産に内定した記事を見て 石川くん)

 役立ちたい 希望捨てずに 人に言葉を
(自分でも被災者の人たちにはげましの言葉をおくることはできるのではないかと思って 山田さん)

 大地震 二か月たったが 人戻らず
(被災地は今もがれきの山で人がもどれるめどがたっていないことを残念に思って 松原さん)



2011年5月17日付

実際の紙面ではすべての漢字に読みがながついています。
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