楽しく学ぼう新聞教室

朝日中学生ウイークリー

 

「記者の思い」探りまとめる

 

 

 

 道徳の公開授業で朝小を活用した学校があります。18日、東京都千代田区の富士見小(児童数310人)の4年2組は、東日本大震災で家族を亡くした朝小の今野公美子記者の記事(一面でも紹介した5月15日付)を題材に、自然と人間とのかかわりを考えました。

 


▲モニターに映された新聞写真を見て、感じたことを発表します東京都千代田区の富士見小で

 

 

 

 

道徳で、朝小の写真や記事活用


 担任の藤原マリ先生が、教室前方のモニターに1枚の写真を映し出しました。庭に、手入れされた花がさまざま咲いています。「きれい」「すてき」「色鮮やか」「優雅な人が住んでそう」――。子どもたちから次々に感想があがりました。
 

 次に映し出されたのは4月に撮影された同じ庭の写真。大震災の津波のため荒れはてていました。アップにするとスイセンが咲いているのがわかります。
 「津波でほかの花は流されたけど、この花だけ残っててすごい」と吉田くん。
 どちらも朝小にのった写真です。紙面には「それでも花は咲いた」と見出しがつけられていました。全員に記事のコピーが配られ、じっくり読んでいきます。庭の花は今野記者のお父さんが育てていたこと、家族3人は亡くなり、自宅は2階まで水につかる被害がありましたが、スイセンは根をはったまま残り花を咲かせたことなどがわかりました。
 

 藤原先生が問いかけました。どんな気持ちで記者は撮影したのでしょうか――。「お父さんがせっかく植えてくれたのに悲しい」「津波はひどい」「もう元にはもどらない」「くやしい」などの声があがりました。記事で伝えたかったことを考えた上で、自分の生活をふり返り紙にまとめました。
  山本さんは「友だちとけんかをしたりするけど、おたがいにゆるし合って支え合っていきたい。弟もちゃんとめんどうをみてあげたいです」。田邊くんは「家族や友だちを大切にしたい。最後に生き残った花も見習って、ひたむきに生きることを忘れずに生きたいです」。

 

 

 

朝小に掲載された写真。震災後の4月19日、仙台市の自宅の庭にはスイセンが咲いていました

 

 

自然と人間を
リアルに学ぶ

 

 

 ひとくちに「自然」といってもさまざまあります。美しい自然、写真のスイセンのように「負けるもんか」という力強い自然、津波のように人の力ではどうしようもないおそろしい自然、さらには人間も自然の一部です。藤原先生は「人間も自然の中で生かされていることや、生きることの尊さを感じてほしい」といいます。
  4年2組は毎朝、日直が朝小の記事を紹介して、自分の考えをスピーチするなどして新聞に親しんでいます。藤原先生は「子どもたちにも本当の現実をリアルタイム(同時)で考えてもらいたい。それには副読本よりも新聞がむいている」と話しています。

 

 

2011年6月21日付

実際の紙面ではすべての漢字に読みがながついています。
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