スクラップの達人に聞く 下
スクラップ新聞は、スクラップした記事を使って、新聞の形にまとめるオリジナルの新聞です。横浜市並木中央小学校の6年2組はこの夏、東日本大震災をテーマにスクラップ新聞作りをしました。スクラップ新聞を作ると、新聞との向き合い方が変わってくるといいます。どんなことが学べたのでしょう。
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スクラップ新聞をつくるため、教室や廊下にたくさんの記事を広げ、作業を進めました=7月、横浜市並木中央小で(同校提供) |
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被災者の気持ちをテーマにまとめたスクラップ新聞 |
「いま」を学びまとめて発信
並木中央小では5年ほど前から、授業のさまざまな場面で新聞を使った学習に取り組んでいます。
東日本大震災が起きた後、6年2組の担任、小林真先生は「今回の震災は歴史に残る重要な出来事。子どもたちには、いま起きていることから何かを学び取ってほしい」と考えました。
そこで、「いま」についてのさまざまな情報や意見が発信されている新聞を活用することにしました。子どもたちはおもに総合的な学習の時間を使って、新聞記事のスクラップ、スクラップ新聞作りに取り組みました。
「原子力発電所」「被災者の気持ち」「支援」の中から関心の高いテーマを一つ選び、それに関係のある記事を切り抜きました。気づいたことを書きそえて、とっておきます。この作業を4月から2か月続けました。
ためておいた記事を使って、スクラップ新聞を作ります。新聞を通して読者に伝えることは「自分が新聞から学んだこと」です。
まずは、集めた記事をもとに「大見出し」を考え、自分がどんなスクラップ新聞を作るか、編集方針を決めます。次に、記事を模造紙に並べてレイアウトを考え、記事のまとまりごとに、学んだことを書きます。
さらに、自分が作った新聞をもとにクラスメートと意見交換します。最後に、ほかの人の意見などをふまえ、編集後記を書いて仕上げます。
小林先生は「編集作業を通じて足りない記事が見つかります。子どもたちはそのたびに何度も新聞を読み返していました」。
塚田さんは「新聞を読んでいて、初めは『どうでもいいや、関係ないし』と思っていた記事も、調べるうちに『やっぱり関係があるかもしれない』と考えが変わったこともありました」とふり返ります。
徳留さんは「わたしはただ新聞を読むだけでは深く考えませんが、スクラップ新聞作りを通じて考えをまとめようとすることで、自分の感じていることが見えてきて、さらに記事への興味がわいてきました」。
6年2組はいまも、それぞれ自分のテーマを決め、新聞記事のスクラップに取り組んでいます。
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