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「大阪都構想」、5月に住民投票へ

 

 

 

市なくして特別区つくる考え問う


朝日新聞大阪社会部 河口健太郎記者

 

ケン 大阪市で5月に住民投票があるみたいだね。


河口記者 「大阪都構想」に「賛成」か「反対」か、住民が投票して実現するかどうかを決めるものだ。投票できるのは選挙権を持つ約215万人の大阪市民で、過去最大規模になる。


ポン トコーソー?

 

 

 

 

 

 

 

――大阪市をなくして特別区をつくり、大阪府との仕事の分担を見直す構想だよ。大阪市長の橋下徹さんが大阪府知事だった2010年から進めている。東京都と東京23区の関係をめざし、大阪都と特別区にするんだ。今の案では、大阪市を五つに分けてつくる特別区が身近な教育や福祉のサービスを担う。交通網整備や都市計画のような大きな仕事は大阪都が考える。


ケン なぜ大阪市を分ける必要があるの?


――橋下さんは、1人のリーダーが270万人近くが住む政令指定市の大阪市に目配りすることは難しいと考えている。特別区は人口34万〜69万人になり、それぞれの特別区に選挙で選ばれる区長と議員がいるようになる。住んでいる人の声を政策に採り入れやすくするねらいだ。


ポン 今のままではダメなの?


――大都市である大阪市が強い力を持ち、大阪府と張り合って大きな公共施設をつくったり、同じような政策を進めたりすることでムダが生まれる……。こう橋下さんは考えている。大阪府を大阪都にして力を集め、東京都との差を少しでも縮めようとしているんだ。橋下さんによると「いがみあっている2人を無理やり1人にしてしまうのが都構想」なんだって。


ジャン 反対している人も多いみたいだね。


――新しい役所を建てたりシステムを変えたりするのが大変で、最初に600億円ものお金がかかると言われている。初めはすべての特別区が赤字になると予想しているよ。税金を納める会社の集まり方もちがうから、特別区によって収入に差が出ることも反対の理由だ。住民1人あたりの差は最大3倍近くになる。


ケン お金持ちの区と貧しい区ができてしまうんだね。


――区によって貧富の差が大きくなりすぎないように、税金による収入を分け合う仕組みもつくる。でも、分け方をめぐって都と特別区でもめないかという心配も出ているよ。


ポン それなら、やめちゃえばいいよ。


――大阪府と大阪市の議会では反対の議員が多くて、去年10月にはこうした案が否決された。住民投票をするには、議会の可決が必要なんだ。


ケン どうして住民投票ができるようになったの?


――橋下さんが率いる「大阪維新の会」の次に議員が多い公明党が、去年末に「住民投票を行うことに協力する」という方針になったんだ。公明党は反対の先頭に立ってきたけど、公明党の応援団には大阪で人気がある橋下さんとの関係を「修復してほしい」という声が強かったみたい。
それで2月に始まる議会で可決する見通しになった。でも、公明党は都構想の内容には反対している。


ジャン 住民投票で、何か決まるの?


――「賛成」が多ければ、2年後の17年4月には都構想が実現する。ただ、大阪府の呼び方を「大阪都」に変えるには国会で新しく法律を整備する必要がある。「反対」が多ければ都構想は終わり。その場合、橋下さんは12月に市長の任期を終えたら、政界から引退すると宣言しているよ。



 

過去の記事↓

◆奈良・明日香村に新たな古墳?(2015年1月31日)

◆「大阪都構想」、5月に住民投票へ(2015年1月24日)

◆どうなる? 2015年の政治(2015年1月10日)

2014年1月24日付

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