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鎌倉市立小坂小学校の6年生103名が授業に参加してくれました。
2時間目の講師として佃煮を製造・販売している遠忠食品株式会社(東京都中央区)の 社長、宮島一晃さんが登場しました。 宮島さんは、東京湾でとれた海苔やアサリなどを材料にして、無添加の佃煮づくりに取り組んでいます。
醤油と砂糖で甘辛く煮た佃煮は、江戸時代から続く日本の食文化。その材料は、陸のものではフキや葉唐辛子など。そして、海のものは海苔、昆布、魚、貝などです。
「この人を知っていますか?」
宮島さんは徳川家康の絵をスクリーンに映し出し、問いかけました。
家康は、大阪の漁民を江戸に呼び、隅田川の河口に作った埋め立て地に住まわせました。
「漁民たちが小魚や貝類を煮詰めて保存食にしたのが、佃煮のはじまりです」と宮島さん。 「昔は今のように冷蔵庫がない。食品を日持ちさせるためでした」
そして、東京湾の環境変化に話題が広がります。
「東京湾には昔、海苔の漁師さんがいっぱいいました。でも、埋め立てによって、東京都の海苔漁師はいなくなりました」。東京湾に面した千葉県や神奈川県ではいまも海苔づくりが行われていますが、漁師さんの高齢化などの問題もあるそうです。
東京湾にはかつて、広大な干潟が広がっていましたが、明治時代に比べるとその9割が埋め立てによって失われたといいいます。
「干潟には水を浄化する力があります。干潟にすむ二枚貝が、水をきれいにしてくれるんです」 宮島さんは、東京湾を含めて全国的にアサリの漁獲量が減っていることに触れました。
その原因はよく分かっていませんが、海の環境が変わったためではないかと考えられています。
東京湾のお台場で海苔を作り、小学生に佃煮を作ってもらう「佃煮教室」、東京湾で育てたワカメや昆布を使って佃煮を作る取り組みなどを紹介。
海苔をめぐる最近の話題として、台風の影響でたくさんのごみが押し寄せ、千葉県で海苔を育てるための網を張るのが遅れてしまったことも紹介しました。そして、最後に子どもたちに呼びかけました。
「日本の一次産業がずっと続いていくように、できれば国産の食材を食べてもらえればと思います」