朝日小学生新聞
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東京オリンピック・パラリンピック2020

国立競技場を設計した建築家の隈研吾さんに聞く
(朝日小学生新聞2019年7月24日)



 2020年東京オリンピック(五輪)の開幕まで1年を切りました。開会式が開かれる新国立競技場(東京都新宿区、渋谷区)は、建設の真っ最中です。

 設計にたずさわる建築家の隈研吾さん(65歳)が、朝小リポーターから寄せられた質問に答えてくれました。デザインには、これからは「木の建築の時代」というメッセージをこめたといいます。 (小貫友里、今井尚)


隈研吾 1954年生まれ。
神奈川県 横浜市出身。
東京大学、同大学院で建築を学ぶ。
現在、東京大学教授。写真は7月8日、東京都渋谷区で撮影。

Q(読者からの質問) 
 どんな思いで新国立競技場の設計をしましたか?(神奈川県・小4男子)

A(隈さんの答え) 
 建物の敷地は、明治神宮の周りにある森の中です。なので、木を建物の外壁や屋根にたくさん使って、森の木と建物の木が響き合うようになればいいなと思って設計しました。


建設中の新国立競技場=7月3日、東京都新宿区

世界が注目する場所に、どんな気持ちをこめましたか?(静岡県・小4男子)

これからはどういう時代か、アピールできるような建物にしようと思いました。 20世紀の建築は、コンクリートと鉄で造るのが当たり前でした。これからは環境が大事な時代です。

 森は、木が育ったら切って使い、新しい木を植えて、いい状態を人が作り出さないとだめになってしまうんですね。

 森がだめになると、木が空気中の二酸化炭素を吸わなくなって地球温暖化が進んだり、海に流れこむ水が悪くなって、魚もとれなくなったりします。

 木の空間は、人間の精神状態をよくすることもわかってきました。新しい時代は、森と、人間の心の健康のためにも木の建築にならなければいけないと思います。


大屋根の裏側。カラマツやスギが使われています

五輪で一番楽しみにしていることは何ですか?(京都府・小4女子)

隈さん マラソンです。折り返し地点の浅草にある雷門の前に、ぼくが設計した「浅草文化観光センター」があります。その前を人が走ったらどんな風景になるかなと、すごく楽しみにしています。

  勝ち負けだけでなく、この人が住んでいる国はどんな場所かなと、考えながら見てほしいと思います。 建築家の仕事や、隈さんの子ども時代についても聞きました。

何歳のときに、どうして建築家になろうと思ったのですか?(東京都・小5女子)

小学4年生のときに、1964年の東京五輪前に建てられた国立代々木競技場の建物を見て感激しました。こんなものが造れるなら、建築家っておもしろいと思い、めざすようになりました。

 五輪は人生を決めた大会だったし、自分が初めて世界を知った場所でもあります。

建築家になるためにはどんなことをすればいいのですか?(東京都・小5男子)

いろんな建築や街を見て回って、「いい空間」をたくさん感じることが大切だと思います。 街を歩きながら、この空間すてきだな、この通りすてきだなと思う。そういうことから、ヒントをもらうことが多いです。だから、ぼくも旅行や街歩きをよくしています。

どんな食事で健康管理をしていますか?(神奈川県・小4男子)

仕事で日本国内や世界を飛びまわっているのですが、それぞれの場所で、なるべく地元の人が食べているものを食べようとしています。日本の地方だったら、その地域のおいしいおそば。外国なら市場にも行きますよ。それで健康になっているかはわからないけど……。

子どものころにやっておいてよかったことは何ですか?(東京都・小6女子)

外遊びです。ぼくは、神奈川県横浜市の出身なのですが、ザリガニつりをしたり、トンボをとったり、外を走り回っていました。 外で遊ぶことは、ただ体をきたえるだけではなく、頭もきたえてくれたのではと思います。

 たとえば、ザリガニのとり方。田んぼと池では、つけるエサや水中に垂らす糸の長さを変えなければいけませんでした。 どうやったらとれるか、近所の子どもたちとみんなで考えて、研究していました。

 また動物の習性を知るうちに、人間と同じ部分があることも知りました。生き物から、人間についても教わったと思います。


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