朝日小学生新聞
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ぼくといつか恐竜研究しよう 研究者・小林快次さんと恐竜ばなしあれこれ


 朝小編集部は恐竜研究者・小林快次さん(北海道大学総合博物館副館長・教授)への取材会「集まれ!こども編集部」を1月、東京都内で開きました。

 恐竜好きの読者15人が、「恐竜研究者になる方法」や「発掘で危なかったこと」などさまざまな質問をしました。小林さんが監修をつとめた映画「恐竜超伝説 劇場版ダーウィンが来た!」が2月21日に公開されました。(猪野元健、小勝千尋、近藤理恵)


「恐竜超伝説 劇場版ダーウィンが来た!」に登場するティラノサウルス=NHK提供

質問にていねいに答える小林快次さん

クマとばったり、骨も折った
Q(読者の質問)恐竜の研究で好きなところはどこですか。
A(小林さんの答え)よく研究で発掘に行くんだけど、新しい恐竜の発見がやっぱり一番楽しいです。

化石を見ただけで、その恐竜が大きいか小さいか分かるのですか。
正確な大きさは全身の骨が出てこないと分かりません。でも、大きい恐竜は骨が大きいし、小さい恐竜は骨が小さい。特に一番大事なのは太ももの骨。それを見ると、だいたいの大きさや体重が分かります。

なぜ化石から恐竜の色が分かるのですか。
色は基本的には分かってないものがほとんど。映画では、生活や体の形が似ていて、いま生きている動物や鳥を参考にして色を付けています。

発掘中に経験した危険なことを教えてください。
アメリカのアラスカで、クマが目の前に現れたことがありました。その時は散弾銃を持っていて、音で追いはらいました。がけから落ちて、肋骨を折ったこともあります。

「自分ってすごい!」と思った発掘を教えてください。
1996年にモンゴルのゴビ砂漠で、次から次へと恐竜を毎日見つけたとき。多くの研究者がいる中で、ぼくだけがいろいろな恐竜の化石を見つけた。「あいつが来ると何か見つかる」「ファルコン・アイ(ハヤブサの目)だ」と言われるようになりました。

恐竜をテーマにした自由研究をするときは図鑑やインターネットで調べていますが、知りたいことがのっていないことがあります。どうすればいいですか。
ネットに出てはいる。でも英語なんだ。論文の集まっているサイトがあるから、そこで知りたいことを検索して、がんばって読んでみるといいよ。英語で「読む」こと自体を自由研究にしてもいいかもしれないね。

小林さん(左)に質問。植田和貴さん(左から2人目)からは監督をつとめた映画の裏話もありました

外でたくさん遊んでおこう
これから発掘をしたい場所はどこですか。  
アフリカとインドです。まだたくさん恐竜の化石がある地域。みんなも将来、行きたいだろうから、見つけずに残しておくね(笑い)。  

夢や目標はありますか?
いつもが楽しい。毎日が研究で楽しいことだらけだから、夢とか目標はない。このまま定年までやろうかなと思います。今年も目標をあげるとしたら、「現状維持(いまの状態をたもつこと)」です。

恐竜博士になるために、子どものときにやるべきことは何ですか。
まずは好きだっていう気持ちが大切。苦手なことも恐竜を通して好きになろう。あとは、お友だちと外でたくさん遊んでください。体力もつきます。ぼくは小学校のとき習っていた水泳を今もやっています。

読者へのメッセージをください。
恐竜っておもしろいよね。まだまだ分からないことだらけ。恐竜が好きで、研究に興味があったら、いまはとにかく勉強を楽しんで。勉強も楽しむことを覚えたら、おもしろくなってくるからね。いま日本の恐竜研究はがんばっている。いつかいっしょに研究をしよう。

最新データを迫力のCGで


巨大な竜脚類(りゅうきゃくるい)=NHK提供

 小林さんが監修した映画「恐竜超伝説 劇場版ダーウィンが来た!」が2月21日に公開されました。NHKの人気自然番組「ダーウィンが来た!」の劇場版第2弾です。

 最新研究から明らかになった、新しい恐竜の世界をえがきます。 集団で狩りをする最強の恐竜ティラノサウルス、知恵を武器に生きる肉食恐竜トロオドン、自分を犠牲にして敵に立ち向かう羽毛恐竜デイノケイルスなどが次々に登場します。

 恐竜たちの姿だけでなく、愛情や知性にも注目です。 監督の植田和貴さんは「小林先生たちの研究成果があって分かってきたことを、CG映像で表現しました。超巨大生物の生活ぶりを、大スクリーンで楽しんでほしい。本当にこんな動きをするの?と思うかもしれません。恐竜のことを調べるきっかけにしてほしいです」と話します。

参加した読者と小林さん(後列左)、植田さん


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