全国小学生アンケート2021
よりよい世界をつくるためには

2021.03.25
SDGs について全国小学生アンケート
 子ども新聞、子ども向け紙面をつくる全国の新聞社21社は2021年3月26日(金)にリモートで第4回「こども新聞サミット」を開催いたします。それに先立ち2020年12月~ 2021年1月、全国の小学生を対象に「よりよい世界をつくるためには」という内容でアンケートを実施しました。
 2020年4月から全国の小学校で「持続可能な社会の担い手を育てる」SDGs教育がスタートしています。小学生の意識をさぐるとともに、こども新聞サミットの発表にも活かすことが目的です。
アンケートから見えてきた主なトピック

①SDGsを知っていた子は全体の48.5% →質問1
②SDGs17 つの目標で興味があるのは、1位:海の豊かさを守ろう、2位:安全な水とトイレを世界中に、
 3位:人や国の不平等をなくそう→質問2
③85%以上の子が地球の未来を心配している→質問3、4
④環境のために何かに取り組んでいる子は92%以上→質問5
⑤今住んでいるまちに住み続けたいと答えた子は約8割→質問6
⑥多様性という言葉を聞いて、一番思い浮かぶのは、障がいのある人もない人もいっしょに働いたりスポー  ツをしたりできる→質問7
⑦日本が世界と協力して取り組むべき課題は争いを減らすこと、地球温暖化防止→質問8

【質問1】SDGsを知っている人が半数近く
 「SDGs を知っていましたか」は「はい」が48.5%、「いいえ」は51.3%。学年が上がるにつれ知っている割合が高くなり、6年生は「はい」が74.6%でした。

小学校で長年SDGs教育に取り組んだ手島利夫さん(日本持続発展教育推進フォーラム理事)の話

 SDGsを知っている小学生が全体で48.5%もいることに、とても驚きました。1年生でも2割が知っ ているのは驚異的です。学年が上がるにつれて増えており、6年生では74.6%にもなっています。大人顔負けですね。
 これほどの認知度の高さは、こども新聞や、学校での授業の影響が大きいと思われます。ふだん見ているニュースや授業で学んだことが、興味のある目標に反映されているのではないでしょうか。

【質問2】SDGsの17目標のうち、興味のあるものは(複数回答可)
 


【質問3】地球の未来を心配する小学生は85%
 心配になることが「よくある」が4896人(32.4%)と「ときどきある」(7968人、52.8%)をあわせると、 85.2%の小学生が危機意識を持っています。

手島さんの話

 全体で8割を超える小学生が、危機意識を持っています。大丈夫だよと言ってあげたいけれど、かんたんには言えない。大人として申し訳なさを感じます。安心して暮らせる世界をつくってあげたいですね。

【質問4】具体的な心配、トップは「ごみなどで海がよごれる」
 質問3で「よくある」「ときどきある」と答えた人に、具体的にどんな心配か聞くと8170人から回答がありました。最多は「ごみなどで海がよごれる」(1711人、20.9%)でした。

手島さんの話

 よりよい世界をつくるためには、克服すべき問題が何なのかに気づく力が大切です。こうした危機意識を持っている子どもたちが、リーダーとなって社会を変えていくのではないでしょうか。期待したいです。

【質問5】環境のために取り組んでいる小学生は92.2%

手島さんの話

 みなさんが取り組んでいる内容は、どれも大事なことばかりです。ただ、これらをみんなで取り組むことだけで「よりよい世界ができる」と思いますか?
 私たちの世界を、そして未来を壊そうとしている真の原因は一つとは限りません。いろいろとつながっているかもしれません。「答えがどこにあるのか。本当にそれだけなのか」という強い問題意識をもって学び、世界の仕組みをひもとき、みんなの心を動かし、力を合わせて解決への道に踏み出さなくてはなりません

こども新聞サミットでは

テーマ「SDGs × 環境」で話し合ってきた成果を発表します。

【参加するこども記者】読売KODOMO新聞(読売新聞社)、まいにちふむふむ(新潟日報社)、子ども新聞さん太タイ ムズ(山陽新聞社)、南日本こども新聞オセモコ(南日本新聞社)、琉球新報小中学生新聞りゅうPON!(琉球新報社)

【質問6】大人になってもいまのまちに「住み続けたい」が8割
 
「住み続けたい」に地域差はわずか

 地方別にみると、「住み続けたい」はいずれも70%台後半となっており、目立った差は出ない結果でした。「いいえ」の理由は、北海道・東北地方と中部地方、九州・沖縄地方の最多が「やりたい仕事ができない」。中国・四国地方での最多は「人がたくさん住むまちに住みたい」で、関東地方と近畿地方は「そのほか」が トップでした。

こども新聞サミットでは

テーマ「SDGs × 技術革新」で話し合ってきた成果を発表します。

【参加するこども記者】朝日小学生新聞(朝日学生新聞社)、道新こども新聞週刊まなぶん(北海道新聞社)、週刊いばらきこども新聞(茨城新聞社)、中日こどもウイークリー(中日新聞社)、ジュニアえひめ新聞スマイル!ピント(愛媛新聞)

【質問7】多様性のイメージ最多は、障がいのある人とない人との共生
 
手島さんの話

 子どもたちは、どの選択肢も大事だとわかっているはず。頭でわかっているだけではなく、実際のさまざまな場面で迷わずに判断し行動できるようになれるとよいですね。

こども新聞サミットでは

テーマ「SDGs × 多様性」で話し合ってきた成果を発表します。

信毎こども新聞(信濃毎日新聞社)、子ども新聞週刊まなびー(神戸新聞社)、ちゅーピー子ども新聞(中国新聞社)、読もっかこども高知新聞(高知新聞社)、GXジュニア(大分合同新聞社)、ワラビー(沖縄タイムス社)

【質問8】国際協力で重視する分野、最多は「争いを減らす」
 学年別にみると、「争いを減らす」「貧しい人を減らす」はどの学年でも同じくらい支持を集めた一方で、「地球温暖化など環境問題対策」や「おたがいの文化を知る」は、学年が上がるごとに答えた人の割合が高くなる傾向がありました。

こども新聞サミットでは

テーマ「SDGs × 国際協力」で話し合ってきた成果を発表します。

【参加するこども記者】毎日小学生新聞(毎日新聞社)、こども新聞週刊かほピョンプレス(河北新報社)、子ども新聞週刊風っ子(上毛新聞社)、週刊しもつけ子どもタイムズ(下野新聞社)、親子で読むこどもタイムズ(西日本新聞社)

手島さんの話

 「争いを減らす」には、どの学年でも高い意識があります。高学年になるほど、文化理解や教育の充実、スポーツを通した交流などさまざまな問題の重要性に気づくようです。
 こうしたさまざまな問題はつながっていて、影響し合っていることに気づくことが大事です。たとえば新型コロナウイルスの感染拡大は、健康のほかにも、経済や教育、スポーツ、国際協力、心など、さまざまな分野に影響をおよぼしました。

社会は、変えられる

【小学校で長年SDGs教育に取り組んだ手島利夫さん(日本持続発展教育推進フォーラム理事)の話】

 地球の未来に危機感をおぼえている小学生が多いことにとても驚きました。そうした危機感を持つ人たちが、社会を変えていくことに期待したいです。
 もしかすると、社会はそうかんたんに変わらない、と思っている人がいるかもしれません。そんなことはないよ、と小学生たちには伝えたいです。
 この1年を思い返してみてください。いま、みんながマスクをして生活しています。新型コロナウイルスの問題が起こるまで、そんな社会を想像できましたか。買い物をするときにはみんなが間隔をあけて並ぶようになりました。急ぎでもなく、必要でもない外出をひかえる動きもありました。一人ひとりの心も行動も変わったのです。学校も、オンラインでの学びが加速しました。私たちは日々変わっています。成長しているのです。
 SDGsは遠い世界の話ではありません。私たちの身近な問題です。いまは新型コロナが大きな問題ですが、今後、新たな問題が、持続可能社会をじゃましようとするかもしれません。社会や経済、国際などいろんな分野にまたがる問題になるでしょう。子どもたちには、広い視野でものを見て判断し、みんなに警鐘を鳴らしたり、解決策を提案したりできる、そんな大人になってほしいと願っています。

手島利夫さんは、こども新聞サミットでこども記者たちといっしょに「よりよい世界をつくるためには」の答え を探して議論します。

てじま・としお 1952年、東京生まれ。東京の二つの小学校(江東区立東雲小学校、江東区立八名川小学校)の校長を歴任し、ユネスコスクールとしてESDカレンダーの開発・ESD推進に携わる。2007~18年内閣府ESD円卓会議委員等の役職を務め、ESDの普及・拡大に努める。

【お問い合わせ先】「こども新聞サミット」事務局 富貴(ふうき)[朝日学生新聞社編集部]
         TEL:03-3545-5222 mail : asasho@asagaku.co.jp(平日10~17時)