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 朝小サマースクールオンライン2021
  チャットで質問! 白熱したよ

 オンライン会議システム「Zoom」を使ったワークショップイベント「朝小サマースクールオンライン2021」(朝日学生新聞社主催)が7月17、18日に行われ、全国から3563人が参加しました。6つのワークショップのようすを紹介します。


未来を作るコミュニケーション術 KAIGOの仕事から学ぼう!
GO!GO!KAIGOプロジェクト(厚生労働省補助事業)

 この授業は、お年寄りや障がいのある人をサポートする「介護」の専門家たちが、だれに対しても気持ちのよいコミュニケーションとはどのようなものか教えてくれました。

 最初に、特定非営利活動法人未来をつくるkaigoカフェ代表の高瀬比左子さんが、福祉とは幸せや豊かさを意味する言葉で、高齢になっても障がいがあっても豊かに生きられるように支援する大切な仕事が介護であると説明。日本は2013年、65歳以上のお年寄りの割合が全人口の25%をこえ、さらに高齢化が進んでいます。介護の重要性が増し、多世代でケアし合える社会にしていくことが大切であると伝えました。

 次に、認定NPO法人Link・マネジメント理事の木村誠さんが、認知症の人とのコミュニケーションを紹介しました。認知症は病気ではなく、さまざまな原因から起こる物忘れなどの症状にすぎないと解説。自分が認知症だったらどのように接してほしいかを想像したうえで、その人の立場になって考えてみることが大切と話しました。

 最後に、SOMPOホールディングスFutureCareLabinJapan所長の片岡眞一郎さんが、開発している介護ロボットについて話しました。聞こえやすい音が出るスピーカー機能を果たすロボットや、何もせずお年寄りが世話をすることでいやされるロボットが登場。ねているだけで車いすに変わるベッドもありました。

高瀬比左子さん

片岡眞一郎さん(左)と木村誠さん

「読む力」と「伝える力」がぐっと身につく作文講座
博報堂教育財団

 指導した先生は、朝日小学生新聞の人気コラム「大勢の中のあなたへ」を執筆していたコラムニストのひきたよしあきさんです。

 いきなりチャットで、「国語の成績を上げるにはどうしたらいいですか?」と質問が届きました。ひきたさんは、自分が実際にやって効果があったという「成績を上げる勉強法」を紹介しました。それは「だれかに教える」こと。教えることで、学んだことを確認できたり、自分のわかっていないところがわかったりするほか、声に出すことで記憶に残りやすくなるそうです。

 文章の上達も、人に教える勉強法と同じといいます。だれかにあてて文章を書くことで、その人のことを思い、どうしたら伝わるかを考えることで、人に伝える力も身につけられると説明。おすすめするのは、自らもコンクールの審査員を務める「読書推せん文」。特定の人に向かって、「この本、おもしろいよ」とすすめる文章です。

 また、目の前の景色を実況中継すると、思っていることを文章にする力が養えるそうです。要約が上手になるコツをたずねられると、とにかく半分にしてみてください、と答えます。  最後に、ひきたさんは「勉強ができない人や集中力のない人なんていないと思います。成績が悪い時もたまたま悪かったくらいに考えて、自分は勉強ができないなどと決してレッテルをはらないでください」とメッセージを送りました。

文章の書き出しのコツは「読み手に次はどうなるのだろうと思わせることが大切」といいます

くもんの先生×内田恭子さん(フリーアナウンサー)子育てママのお仕事ヒント
公文教育研究会

 読者のお母さん向けの講座も行われました。東京都文京区でKUMONの教室を開いている末永矢子先生と、フジテレビで活躍されたフリーアナウンサーの内田恭子さんが登場。2人とも男の子のお母さんでもあることから、子育て・家事と仕事を両立するための工夫や、お子さんとの関わり方などをテーマに対談しました。

 女性は結婚や出産、子育てなどで働き方やライフスタイルが大きく変化します。子どもを持ったことで変わったことをたずねられると、末永先生は時間の使い方をあげます。家族との時間をつくるため、仕事は短時間で集中して効率化を心がけているそうです。内田さんは、子どもたちのおかげで朝寝坊しなくなったと笑います。子どもたちに朝食を作るため、平日は必ず朝6時に起きるようになったそうです。元気あふれる子どもたちと100%向き合えるように夜ふかしなどが減り、生活リズムも整ったといいます。

 最後に、末永先生は「結婚や出産などのライフイベントは決してマイナスではなく、キャリアに豊かさをあたえてくれる。思いがあれば、人も家族も運もついてくると思っています」といいます。内田さんは「子どもに育ててもらっている気がしますし、子育ての正解、不正解なんてわからないと思います。子どもといっしょにいる一日一日を楽しく、ていねいに過ごすことを大切にしていきたいですね」と話しました。

「サメや恐竜、忍者など、子どもが興味を持ったことにいっしょに関わってきた」という末永先生

おさる3兄弟と学ぼう! 「じょうずなお金のつかいかた」
三井住友カード株式会社

 しっかり者の「さるにぃ」、ほしいものはどんどん買っちゃう「さるっきー」、お金を貯めるのが大好きな「ためっきー」のおさるの3兄弟。むらかみめぐみさん、もりたあつしさん、つゆきまどかさんがそれぞれのキャラクターになり切って、楽しいやりとりを交えながらお金について学んでいきました。

 まずはクイズで肩慣らし。1問目、5円玉と50円玉はどちらが大きいか? 答えは、直径22ミリの5円玉。50円玉は直径21ミリで、差はわずか1ミリです。2問目は難問でした。明治時代のお札で、すぐにやぶれないよう材料にまぜていた粉は何? 答えはこんにゃく粉ですが、虫などがかじるためとりやめになったそうです。

 お金はどこから来るのかもいっしょに考えました。さるっきーとためっきーは、バナナみたいに木になる、タヌキが葉っぱをお金に変えてくれるのでは、と答えます。正解は「働いて手に入れる」。働くことはだれかに喜んでもらうことで、「ありがとう」という気持ちといっしょにお金は動くということを教えてもらいました。

 そして、おこづかいをもらってお祭りに行った兄弟たちのようすから、お金は使うことと貯めることのバランスが大切であることを理解します。友だち同士で貸し借りしないといった「お金のルール」、カードやスマホでの買い物も現金を使うことと変わりがないことも学びました。

おさる3兄弟を楽しく演じた(左から)つゆきまどかさん、むらかみめぐみさん、もりたあつしさん

動物だって健康第一! 「アニマルウェルフェア」って知ってる?
農林水産省

 講師は、農研機構畜産研究部門の研究員で、子牛のストレスをやわらげる装置を開発した矢用健一さんです。はじめに、アニマルウェルフェアという言葉を聞いたことがあるかどうかを質問。30人ほどが知っていると答えますが、意味まで知っていると答えたのは17人でした。調査でも日本人でアニマルウェルフェアを知っている人は2割にとどまります。一方、ヨーロッパでは9割以上が知っているだけではなく、すごく大事なことと答える人が6割近くいます。

 アニマルウェルフェアとは、ペットや家畜、動物園などの動物の飼育状態を科学的に評価して改善していこうという考え方です。研究によって、広い野原での放牧が必ずしも牛にとって快適とは言えないことや、母牛が子牛の体をなめるグルーミングという行動が子牛の成育に重要なこともわかりました。しかし母牛の乳をしぼるため、子牛は生まれてすぐにはなされます。そこで矢用さんは、母牛のかわりにグルーミングする装置を2年がかりで開発。10軒ほどの農家に試験的に使ってもらい、商品化に向かっているそうです。

 子牛たちの生育環境を改善しようとがんばっている矢用さんは、子どもたちに「肉や卵、牛乳は生きた動物からあたえられたものだからムダにしない。毎日できることは食事の前に『いただきます』を言うこと。その言葉をおくる中に動物たちへの感謝が入るといいですね」と話しました。

牛の研究を続けて28年。子牛が病気にならないためには、母牛のケアが非常に大事といいます

QuizKnockとクイズで対決!
QuizKnock

 朝小紙面でいつも読者を楽しませてくれているQuizKnockのメンバーと、ライブでクイズ対決ができました。今回のゲストは、パズルや理系分野が得意なふくらPさんと漢字問題に強い山本祥彰さんでした。夏休みの過ごし方について2人とも宿題は計画的にやることが大事とアドバイスします。

 さらに、伊沢拓司さんが「みなさんの中からQuizKnockをたおして次代のクイズ王となるような小学生が現れるのを楽しみにしています」とメッセージを送ってくれました。

 参加した約1000人の小学生みんなで一つのチーム「小学生軍団」として、2人が出題する7問のうち4問を解けたら小学生軍団の勝ちとするルール。最も多く選んだものを小学生軍団の答えとします。

 第1問! 「大人の人間の体には、およそ200個の骨があります。そのうち、最も小さな骨はどこにあるでしょう? A 足の骨 B 耳 C 心臓」といきなり難問です。圧倒的に多かったのはBで、しっかりと正解します。1問ごと、答えが出る瞬間に、息をのむような対決です。そして最終結果は、見事に5問を正解した小学生軍団に軍配が上がりました。

 最後に、ふくらPさんは「未知の世界をノックして、新しいことを知ることが楽しいと思ってくれたらうれしい」。山本さんも「自分のクイズで知識の幅を広げてくれたらうれしいですね」。

面白い研究におくられるイグ・ノーベル賞からも問題が出ました


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