「勉強のやり方」を教える塾、プラスティー代表の清水章弘先生が、最近の教育相談をご紹介します。第16回は「親のアドバイスに耳を傾けない」というお悩みへの答えです。

塾の面談には、保護者のお悩みが集まります。そっと覗いてみてみましょう。今日のご相談は「勉強の効率が悪いのに、アドバイスを聞かない」です。

「勉強のやり方」を教える塾、プラスティー代表の清水章弘です。最近の教育相談をご紹介します。子どもの力は無限大。ちょっとした「ひと工夫」でお子さんの良さを引き出してあげてください。

親のアドバイスに耳を傾けない
【相談】うちの娘は、どう見ても、勉強の効率が悪いです。でも、何度言っても耳を貸しません。どうしたらよいのでしょうか。

ベストなタイミングを対話で決めて
【回答】大人から見て「効率が悪い勉強法」ベスト3を発表します。3位は「間違い直しをしない(赤で答えを写すだけ)」。2位は「書かずに読むだけ(覚える時)」。1位は「ながら勉強(音楽を聴いたり、動画を見たり)」。

順位はあくまで僕の肌感覚であり、客観的なデータはありません。でも、どうでしょうか。どれかに当てはまっていませんか。これらは、確かに効率が悪そうです。しかし、逆に考えてみましょう。どうして大人は、これらを「効率が悪い」とわかっているのでしょうか。

それは、失敗を重ねてきたからです。もしくは、失敗を重ねる人を見てきたからです。たとえば、「きっと大丈夫だろう」と甘く見ていて、英語のスペルを書かずにいたら、英語テストで大失敗をし続けてしまい、英語が嫌いになり、取り返しがつかないレベルになってしまった。数学のわからない問題を放置していたら、高校の数学がチンプンカンプンになってしまった…などなど。

では、どうして子どもは(ひょっとしたら頭ではわかっているかもしれないけれど)、「効率が悪い」とわからないのでしょうか。そうです。経験をしていないからです。
子どもは「説得」しても動きませんが、「納得」したら動きます。効率が悪くても、いまのやり方に納得しているから、それを続けるのです。一度は失敗を経験し、非効率性を納得してもらう必要があります。

とは言え「失敗しても、ほんとうに勉強法を見直してくれるのだろうか」と不安になる方も多いでしょう。ぜひ、そのタイミングをあらかじめ話し合っておいてください。
たとえば「お母さん、このやり方だとうまくいかないと思うわ。でも、次のテストまではあなたのやり方でやってみて。どんな結果だったら、一度やり方を変えてみる?」のように。

2人だけで話すと、感情的になりがちなので、できればお父さん(orお母さん)も交えて、3者で話すのがよいでしょう。塾の先生の力をうまく活用し、「どんな結果だったら、塾の先生とやり方を見直す?」のように聞くのもおすすめです。

子ども達がやり方を見直しやすいのは、結果が悪かった時。その時のみだ、と言い切ってもいいくらいです。先に対話をし、ご本人が納得できるタイミングを探っておきましょう。テスト返却後、「ほら言ったー!」「だから成績が下がるって言ったでしょ!」と口うるさく言っては逆効果なのでご注意を…。そこは、そこだけは、我慢です!!

今日の教育相談まとめ
・大人と子どもは経験値が違う。
・子どもは「説得」しても動きませんが、「納得」したら動く。
・あらかじめ、見直すタイミングを対話で決めておきましょう。

【プロフィール】
清水彰弘先生
清水章弘(しみず・あきひろ)
1987年、千葉県船橋市生まれ。海城中学高等学校、東京大学教育学部を経て、同大学院教育学研究科修士課程修了。東京・京都・大阪で「勉強のやり方」を教える塾プラスティーを運営している。TBS「ひるおび」やTOKYO MX「news FLAG」等でコメンテーターとしてレギュラー出演中。著書12冊。2児の父。

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