プロ家庭教師の安浪京子先生が、中学受験への親の関わり方をQ&A形式で答える連載です

第186回は「気持ちの整理がつきません」というお悩みへの答えです。

Q.気持ちの整理がつきません

A.2024年入試がほぼ終わりました。念願の志望校に進学を決めたご家庭は「頑張ってきた甲斐があったね!」と、とても軽やかな気持ちで日々を過ごされていらっしゃることと思います。しかし、実はそれ以上に多いのが“思った志望校にご縁を頂けず第〇志望、あるいは地元の公立中学に進学が決まり、現実として受け入れられない、「中学受験」の文字を見るだけで辛い”というご家庭です。

「中学受験は人生の一通過点でしかない」「合格を頂けた学校がご縁のある学校」と頭ではわかっていても、気がつくと「何がダメだったんだろう」「あの時、どうすれば良かったのだろうか」と過去に戻って一つ一つ検証してしまう。学校や塾で同じクラスの子たちの進学先が耳に入ると「なぜあの子が受かってウチの子はダメだったのか」とショックとやっかみで胸がかきむしられる…。

単にお子さんを応援していただけならば、入試が終わって魔法が解けたように普通の小学生に戻り、笑顔を見せるわが子を見て、次第に気持ちも吹っ切れてきます。しかし、お子さんのサポートにガッツリ関わられていた場合は、辛さはサポート度合いに比例します。

入試前も辛い事が沢山あったけれど、まさか入試後にこれほど辛い日々が待っているとは…「合格」を信じてサポートしてきたからこそ、想定外過ぎて受け止める事ができません。そして、なぜこれほど辛いかといえば、お子さんの合否結果が「私の手掛けた労力が報われるか、報われないか」にどうしても取って代わられてしまうからです。お子さんよりも真剣に中学受験に向き合ってこられたからこそ、です。

「成長には痛みが伴う」という言葉があります。この言葉は子どもたちに伝えることが多いのですが、今、悶えるような痛み、感覚がなくなってしまったかのような鈍痛に襲われていらっしゃったら、「私は今、成長している真っ最中なんだな」と、無理にでも思って頂きたいなと思います。子育ては親育てとも言われますが、中学受験で親も成長し続けているのです。

そんな親の背中を、子どもはこれからも長い年月をかけて見ていきます。模試の結果が悪くてショックを受けても前を向いたわが子、本命の不合格を知った上で次の入試会場に向かったわが子の成長を、ずっと見届けてきました。次は、お子さんが親御さんを見守ってくれる番なのかもしれません。そして、そんなお子さんの目を意識されることで、少しずつ前を向かれることを応援しています。

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【プロフィール】
安浪京子先生
 中学受験算数専門プロ家庭教師「(株)アートオブエデュケーション」代表。オンラインサイト『中学受験カフェ』https://juken-chugaku.com/ 主宰。受験算数の指導および中学受験メンタルサポートに力を入れ、毎年多数の合格者を出している。中学受験に関する講演やセミナーを多数開催。著書に『きょうこ先生のはじめまして受験算数』シリーズ、このメルマガ連載をまとめた書籍『中学受験 6年生の親がすべきこと』(いずれも朝日学生新聞社)、『きょうこ先生監修 中学受験合格手帳2022』など。

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