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2018年10月13日付
ジャン 9月30日に投開票された沖縄県知事選挙について教えて。
伊東記者 OK。前衆議院議員の玉城デニーさん(59歳)が、前宜野湾市長の佐喜真淳さん(54歳)ら3人を破って初当選したよ。39万6千票という過去最多得票の大勝で、県民は、争点だったアメリカ(米)軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に「ノー」の意思を示したんだ。
――玉城さんは4日に初登庁し、就任会見で知事選の結果について「8万票以上の大差がついたのは(亡くなった)翁長雄志知事の強い思い、辺野古の新基地断念、経済も平和も両立させていきたいとの願いが、多くの県民の共感を呼んだと思う」とふり返った。
移設計画が浮上してから6回目の知事選は、翁長さんの後継である玉城さんと、安倍晋三政権が全面的に支援する佐喜真さんとの事実上2人の戦いだった。
ジャン 玉城さんは何をうったえていたの。
――翁長さんの遺志を継ぐと前面にかかげて、街頭演説ではウチナーグチ(沖縄の言葉)を多用。「イデオロギー(主義・主張)よりアイデンティティー(主体性)」という翁長さんの言葉をくり返した。
また米兵の父を持ち、母子家庭で育った生い立ちを紹介。LGBTら性的少数者への理解促進や失業率の改善など独自色も出し、支持を広げた。
ケン 佐喜真さんは。
――辺野古移設への賛否は示さず、「県民の暮らしを最優先する」と教育や生活支援をおし出した。菅義偉官房長官や小泉進次郎・自民党筆頭副幹事長らが何度も沖縄入りし、自民、公明、日本維新の会が組織戦を徹底した。
でも沖縄は現在、今までに例を見ないほど景気がよく、佐喜真さんの選挙対策本部関係者は「争点にできるような攻撃材料がなかった」と言った。県選挙管理委員会によると、当日有権者数は114万6815人。投票率は63.24%(前回64.13%)だった。
ポン 移設計画の今後の見通しは。
――決して明るくない。安倍政権はこれまで、翁長さんがいくら反対をうったえても、移設工事を進めてきた。辺野古の沿岸部は護岸が一部つながり、埋め立ての土砂を入れる寸前だ。県が8月末に、工事の根拠となる埋め立て承認を「撤回」したため、工事は止まっているが、政府は対抗措置をとるとみられる。
菅官房長官は4日、「辺野古移設が唯一の解決策であると考える」と述べ、政府の姿勢は変えないとの考えを示した。
ジャン 大変だね。
――工事を止められる手段はほとんどないとされる。玉城さんは就任会見で「いばらの道ですが、ふみしめて、ふみこえていくという覚悟が必要。かき分けていって、その先に、県民が求めている未来が必ず見えてくると信じてつき進んでいきたい」と話した。
一方で、最初から対立するのではなく、日米両政府と対話を求めていく考えを明らかにした。また佐喜真さんの獲得票にふれ、「31万人以上の方々の思いも受け取りながら、いっしょに新時代沖縄の構築に向け取り組みたい」と、心を通じ合わせていきたいという気持ちを表した。
記事の一部は朝日新聞社の提供です。