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2019年12月10日付
国の税金を使って首相が毎年春に開く「桜を見る会」が、来年度は中止されることになりました。安倍晋三首相の地元の人たちが多く呼ばれていたことがわかったためです。政府は今後、どんな人を何人招くかや、開催にかかる費用などを見直すことにしています。
ポン 桜を見る会って何?
野平悠一記者 1952年に当時の吉田茂首相が始めたんだ。その後は、東日本大震災のあった2011年と翌12年を除いて、首相が毎年、東京の新宿御苑で開いているよ。
ジャン どんな人たちが招待されるの?
――政府によると、日本にいる各国の大使や衆議院と参議院の議長、最高裁判所の長官、大臣、国会議員、都道府県知事の一部のほか、「その他各界の代表者等」が参加することになっている。芸能人も参加していて、今年はアイドルグループ「ももいろクローバーZ」や歌舞伎俳優の市川猿之助さんらが招かれた。
ケン なんで中止されることになったの?
――政府はこれまで「功績・功労のあった方々」を招くと説明していたのに、安倍首相の地元から大勢呼ばれていたことがわかったからだ。山口県下関市にある首相の事務所が桜を見る会をふくんだ1泊2日の東京都内の観光ツアーを企画。桜を見る会の前日には後援会が「前夜祭」を開いて、首相夫妻を囲んで記念撮影もしていた。
首相はもともと国会で「招待者のとりまとめには関与していない」と話していましたが、問題が明らかになった後は「相談を受ければ、意見を言うこともあった」と修正した。
第2次安倍政権では、参加者数も費用もふくらみ続けている。今年の桜を見る会に招待したのは約1万5千人で、首相が推薦した人は約1千人もいたそうだ。妻の昭恵さんが推薦した人もいたというよ。
ケン 何が問題なの?
――そもそも桜を見る会は、私たち国民が国にはらっている税金を使って、りっぱな働きをした人をねぎらうのが目的だ。ところが、首相は自分を応援してくれている人や地元選挙区の人を大勢招いていた。だから、みんなのための行事を首相は自分のために使っているとみられたんだよ。
ポン これからどうなるの?
――野党の議員が問題を調べるために、5月9日に桜を見る会の資料を出すように求めた。でも、政府は同じ日に、招いた人をまとめた名簿をシュレッダーで捨ててしまった。都合が悪いから捨てたのではないかと疑われているよ。
国会では、野党が質問を続けているけれど、政府は名簿が捨てられたことを理由に、きちんとした説明をしていない。
「前夜祭」についても、高級ホテルで開かれたのに会費が安すぎるのではないかという指摘がある。費用もだれが、どのくらい負担したのか。納得できる説明はまだない。
ジャン では、首相が説明しないとね。
――首相は「国会から求められれば、出て行って説明するのは当然のことだ」と言うけれど、首相が総裁をつとめる自民党などの与党が後ろ向きで実現していない。
安倍晋三首相の第1次政権を合わせた通算在職日数が、11月20日に計2887日になりました。これで明治、大正期に首相を3回務めた桂太郎の2886日をぬいて、歴代史上最長になりました。
一方で、相次ぐ閣僚の辞任や桜を見る会など、政権をゆるがすような問題が続いています。
安倍首相は11月15日、記者から「長期政権のゆるみではないか」と問われて、「日々全力をつくした結果。ゆるみが出ないか、自らに問いかけつつ、より緊張感をもって進んでいきたい」と話しました。
■解説
野平悠一記者
朝日新聞政治部首相官邸クラブ
ピンクは大事な言葉だよ
記事の一部は朝日新聞社の提供です。