- 毎日発行/8ページ
- 月ぎめ1,769円(税込み)
←2020年3月16日以前からクレジット決済で現在も購読中の方のログインはこちら
2016年11月17日付
ケン アフリカで活動している自衛隊のニュースを見たよ。何かあったの?
相原記者 日本政府が、アフリカ中部にある南スーダンという国で国連平和維持活動(PKO)に参加している自衛隊に対して、「駆けつけ警護」という新しい任務を与えると閣議決定=「ことばなるほどね!」を見てね=したんだよ。
ジャン 駆けつけ警護?
相原記者 現地で活動するNGO職員たちが襲われたら、武器を持って助けに向かう。でも、「危険が高まる」との声もある。
ポン PKOって何?
――英語で、「United Nations Peacekeeping Operations」の略で、日本語では国連平和維持活動と呼ぶ。世界で紛争が起きたときに、国際連合(国連)が衝突した勢力の間に立って、きちんと戦争をやめているか、軍隊が現場からいなくなるかなどを監視することが役割だ。このほか、道路をつくったり病気になった人を治療したりと、仕事の中身はいろいろだ。こうやって紛争をした国が立ち直るのを助けている。
ジャン 自衛隊はPKOにいつから参加するようになったの?
――1992年に国際平和協力法(PKO法)ができ、カンボジアのPKOに初めて参加。その後は南アジアのネパールやシリア南西部のゴラン高原などにも派遣された。現在は、南スーダンPKOに唯一参加している。
ポン 南スーダンってどんな国なの?
――2011年に独立した世界で一番若い国だ。国内の道路や水道は十分ではない。このため、日本や中国、韓国、インドやエチオピアなど世界から多くの国がPKOに参加して助けている。
自衛隊は12年から参加しており、今は陸上自衛隊の約350人が活動中だ。首都のジュバで道路をつくったり避難民用のトイレを設置したりしている。
ジャン 「駆けつけ警護」についても、もう少しくわしく教えて。
――南スーダンPKOで12月から活動する自衛隊の新しい部隊は、新任務「駆けつけ警護」ができるようになる。これは部隊のいる場所から離れた所で活動する国連やNGOの職員たちが襲われた場合、助けに向かうという任務。現場に向かう途中、邪魔をする人がいれば、銃を空に向けて撃つなどして警告できる。
ケン 駆けつけ警護は、これまでは認められていなかったの?
――そう。武器を使っていいのは、本人や近くにいる仲間を守る場合に限られていた。ただ、今回も実際に相手の体に銃を撃つことは、相手が撃ってきた場合などに限られる。
今回、ほかに「共同防護」という任務も認められた。PKOに参加している外国軍と協力して自衛隊が生活する宿営地を守るものだ。駆けつけ警護も共同防護も、去年成立した安全保障関連法で新たに盛りこまれた。
ジャン 自衛隊が戦いに巻き込まれない?
――南スーダンは今も治安が悪いため、「自衛隊員が紛争に巻き込まれて命を落とすのでは」という不安の声も確かにある。今年7月には大きな戦いが起き、大勢の市民が死亡したばかりだ。
このため、政府は自衛隊が駆けつけ警護できる範囲をジュバとその周辺に限った。これからも危なくないかどうか、チェックしていくと言っている。遠く離れた国のことであっても、みんなが関心を持って見守っていくことが求められている。
国連施設内で、カンボジアPKO部隊の病院職員施設建設を支援する陸上自衛隊のPKO派遣部隊=1日、南スーダン・ジュバ
どちらも(C)朝日新聞社
解説
相原亮記者
朝日新聞政治部
記事の一部は朝日新聞社の提供です。