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2019年3月18日付
1円玉や鉛筆の芯は、何からできているか知っていますか。この世のすべてのものは元素でできています。元素とは、物質をつくっている基本の成分のこと。元素を順序よく整理して並べた表を周期表といいます。周期表はロシアの化学者が作り、今年が150周年にあたります。(浴野朝香)
1円玉の元素はアルミニウム(Al)、鉛筆の芯の元素は炭素(C)です。ほかにも水素(H)や酸素(O)など、元素は現在118種類あり、周期表にまとめられています。
メンデレーエフ(1834~1907年)が周期表を作った1869年には、元素は63個しかありませんでした。メンデレーエフは、63個の元素を軽いものから順番に並べた時、異なる元素でも似たような性質をもつものがあると気づきました。そこで、同じような性質をもった元素同士が同じ列に並ぶように表を作りました。
発見はそれだけにとどまりませんでした。作った周期表で空白になっていた部分に、これまでに知られていない新しい元素が存在することを予想しました。実際、後に新しい元素が次々に発見されました。
こうした成果をたたえ、2017年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)は、19年を国際周期表年にすると宣言しました。記念の年にちなみ、世界各国でイベントが開かれています。
2月23日、日本学術会議(東京都港区)で記念シンポジウムが開かれました。会場では、東京・開成中学2年、角幡利空さんが夏休みを利用して、小学生の時に作った周期表が展示されました。
角幡さんが最初に周期表を作ったのは小学1年生の時です。小さいころから家に周期表が貼ってあり、元素に関心があった角幡さんは「見るだけでなく、手にとってさわれたら楽しいのでは」という思いで、立体的な周期表を作りました。
立方体のスポンジの4面に、元素の記号と名前、原子量(元素の質量)、身近な用途がそれぞれ書きこまれたり、写真が貼られたりしています。スポンジは棒につきさしてあり、くるくる回してすべての面を見ることができます。
5年生の時にはこの周期表のスポンジを立方体の木に変えて、積み木のように遊べるようにしました。木は棒から取り外し、手に取ることができます。
角幡さんは「身近なものがどんな元素からできているのかを知れば、元素を学ぶのが面白くなるのでは」と話しました。
シンポジウムでは、日本で初めて新元素「ニホニウム(Nh)」を発見した森田浩介さん(九州大学教授)の講演もありました。ニホニウムは日本の理化学研究所などの研究チームが発見した113番元素です。日本にちなんで名づけられました。
自然界にある元素は92番のウラン(U)までで、93番より後は人工的に作り出しています。「加速器」という装置を使って、超高速で元素の粒を別の元素の粒にぶつけます。森田さんもニホニウムを作り出しました。世界各国が実験をくり返しており、元素の数は今後も増えそうです。
記事の一部は朝日新聞社の提供です。