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2019年4月5日付
東アフリカ、ルワンダの内戦で25年前、二つの民族が対立し、100日で人口の1割ほどが虐殺されました。その後は公平な政策がとられ、最新技術を取り入れて急成長したことから、「アフリカの奇跡」と呼ばれています。ルワンダの復興にたずさわってきた専門家と、内戦に巻きこまれ日本にのがれた経験のあるルワンダ人に話を聞きました。(小貫友里)
ルワンダの内戦では政権をにぎる多数派フツ族と、少数派ツチ族の反政府勢力が争いました。1994年4月、フツ族民兵組織などがツチ族などを虐殺し始めました。同年7月にツチ族の組織が国全体をおさえ、新政府を立てて争いは終わりました。
世界各地を見ると、内戦後に再び戦闘状態になることは少なくありません。しかし、ルワンダではその後紛争が起きていません。
同国で平和構築に長く関わってきた国際協力機構(JICA)の小向絵理さんは、「新政府が、勝った側、負けた側で扱いを変えない平等な政策を行ったから」と考えます。にくしみを断つため、政府は全ての人が「ルワンダ人」として結束する国づくりを進めました。
その一つが、内戦の戦闘で障がいを負った兵士たち向けの職業訓練です。JICAは2005年から14年までサポートしました。「負けた側の兵士も無償で受けられ、政府への感謝も生まれています」と小向さん。立場に関係なくいっしょに訓練を受け、終了後、かつて対立した民族と組んで商売を始めることもあるそうです。
ルワンダは人も資源も少ない国です。元々は男性中心の社会でしたが、政府は女性の社会進出を進め、男女の格差を表すジェンダー・ギャップ指数は世界6位です(18年、日本は同110位)。01年からは通信技術を利用した産業での立国を目指し、20年計画で、通信網の整備や技術者の育成などを進めました。10年以降、平均7%前後の経済成長率を維持し、順調に復興しています。
「ルワンダ人はまじめで団結力が強い。多くの人が参加できる社会を目指したので、安定したのだと思います」(小向さん)
ルワンダ内戦に巻きこまれた、永遠瑠マリールイズさん(53歳)。内戦前は、日本でJICAの研修を受けていました。
帰国後、2か月で内戦が発生。爆弾が飛び交う中、子ども3人を連れて、国外の難民キャンプへにげました。
キャンプで働く日本人医師の通訳をしていたため、伝染病にかかった子どもを助けてもらえました。研修時代のつながりに助けられ、難民ではなく留学生として、家族で1994年12月に日本にわたることもできました。
「当たり前の日々を送れるのは大切なこと。また、学んだことは一番たよりになります。学校に行けて、友だちがいるありがたさを忘れないで」と日本の子どもたちにメッセージを送ります。
1994年4月、フツ族出身の大統領が乗る飛行機が撃墜された事件をきっかけに、フツ族民兵組織などがツチ族などを虐殺しました。当時の人口800万人のうち、80万~100万人がなくなり、300万人以上が難民となったといわれます。
記事の一部は朝日新聞社の提供です。