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2019年6月7日付
大阪市で28、29日に開かれる主要20か国・地域首脳会議(G20サミット)。地元の子どもたちにとっては、世界を肌で感じる機会になりそうです。一方で、大規模な交通規制やテロ対策など、暮らしへの影響も出てきています。(中塚慧、中田美和子)
開催1か月前の5月28日。会場となる国際展示場「インテックス大阪」(大阪市住之江区)で、区内の小学生が参加するイベントが開かれました。大阪市立南港桜小と南港光小の6年生約140人や、地元のラグビー選手らが招かれました。
吉村洋文大阪府知事は「世界37の国や機関のリーダーがここに大集結する。子どもたちには、世界に目を向ける機会にしてほしい」とあいさつしました。
G20がそばで開かれることについて小学生たちは「大阪が世界に注目されてうれしい。世界のリーダーたちに、たこ焼きを食べてほしい」。「落ちているごみを拾うなど、できることをしたい」などと感じています。
G20では、海をよごすプラスチックごみの問題についても話し合われます。この問題では、時間がたって細かくくだかれたプラスチックごみが、海の生き物を傷つけるなどしています。大阪府と大阪市は1月に「おおさかプラスチックごみゼロ宣言」を発表。国も、レジ袋を全て有料化させることなどをふくむ「プラスチック資源循環戦略」をつくりました。
プラスチックごみをなくそうと、先月29日には、地元のボランティアが会場のまわりを清掃しました。ネパール出身のチャパガイ・スラズさん(27歳)は、「日本らしい『おもてなしの心』で、会場周辺をきれいにして首脳らをおむかえしたい」と話していました。
27日から、大阪では道路の大幅な交通規制があります。市内を中心とした高速道路は4日間、朝早くから夜おそくまで通行止めに。一般道路も場所や時間によっては一時通れなくなります。関係者がスムーズに移動できるようにするためです。
期間中、首脳が個別に2か国で話し合ったり、首脳の夫人らが交流したりもします。多くの行事があるうえに直前まで予定がはっきりしないため、広い範囲で長く規制をかけます。
高速道路が通れないと一般道路に車が流れます。ここでも規制があるので「う回路」(回り道)に集中し、大渋滞が起こる可能性があります。渋滞を防ぐには、全体の交通量を「普段の50%」におさえる必要があり、通勤や営業の車をひかえるなどの協力を大阪府警察は呼びかけています。
市内全ての公立小中学校は27、28日、休校します。通学路が通れなくなったり、う回した車が入ってきたりして危ないからです。資源ごみなど一部のごみは、処理をする場所が府外にあるため収集を休みます。
テロ対策のための警備も強められます。24~30日は大阪府内の主要な鉄道駅を中心にコインロッカーやごみ箱が使えなくなります。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)ではこの機会に、入場者全ての手荷物検査をするようになりました。
2008年から毎年開催されている国際会議。世界のリーダーが集まり、おもに経済などの課題を話し合う。日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、ロシア、中国、インド、ブラジル、南アフリカ、韓国、メキシコ、オーストラリア、インドネシア、アルゼンチン、トルコ、サウジアラビアの19か国とヨーロッパ連合(EU)がメンバー。日本での開催は初めて。
記事の一部は朝日新聞社の提供です。