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4年に1度 国民が選ぶ 米大統領
2020年10月26日付
4年に1度開かれるアメリカ(米国)の大統領選挙の投票日が、11月3日にせまっています。世界で一番、時間がかかるともいわれる選挙です。どんな仕組みで行われているのでしょうか。
民主と共和、2大政党の争い
米国の大統領選挙は、民主党と共和党という二つの大きな政党の争いです。共和党の候補者は、いまの大統領のドナルド・トランプさん(74歳)。2回目の当選をめざします。民主党の候補者は、副大統領の経験があるジョー・バイデンさん(77歳)です。討論会などを通じて、それぞれの政策をアピールしてきました。
米国の政治にくわしい上智大学教授の前嶋和弘さんは、新型コロナウイルスや人種差別のデモなど、今年の大きな出来事に対する政策のちがいに注目してほしいといいます。
国民が投票する来月の「一般投票」で事実上、大統領が決まります。日本時間の23日には最後の討論会が行われました。トランプさんは「バイデンさんが大統領になれば経済がとどこおる」。バイデンさんは「私に投票する人、しない人も関係ない。全員を代表する大統領になる」と話しました。
約1年間の選挙戦/有権者が投票した選挙人の数で決定へ
大統領を決めるには、大きく二つの段階があります。まず、それぞれの政党が大統領候補を決める「候補者選び」。次に、候補者どうしが争う「本選挙」です。
候補者が決まるのは7、8月の党の全国大会。このとき、候補者を選ぶのは「代議員」と呼ばれる人たちです。この代議員は、2月から6月にかけて州ごとに開かれる「党員集会」や、有権者が投票する「予備選挙」で決まります。
11月3日の「一般投票」では有権者が投票しますが、ここでは有権者の代表として「選挙人」が決まるにとどまります。選挙人が12月にあらためて投票することで正式に大統領が決まるため、一般投票で候補者が争うのは「選挙人の数」なのです。
選挙人の数は人口に応じて州ごとに配分されます。最も多いのがカリフォルニア州の55人、最も少ないのがアラスカ州などの3人。計538人のうち過半数の270人を獲得すれば勝ちとなります。
ほとんどの州では、1票でも多い票数を取った候補者が、選挙人全員を獲得できる「総取り」方式。このため、全米での得票数は多いのに、選挙人の数で負けとなる場合もあります。前回の大統領選挙では、民主党のヒラリー・クリントンさんが得票数が多かったにもかかわらず、選挙人の数で上回ったトランプさんが勝ちました。
勝敗のかぎをにぎるのは10ほどの激戦州と呼ばれる地域です。前嶋さんは「世論調査ではバイデンさんが優勢ですが、トランプさんがこの激戦州をいかにおさえるかがポイントです。最後まで勝負のゆくえは、わからないでしょう」。