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2015年3月26日付
約5年半の修理をへて、27日に大天守が一般公開される国宝・姫路城(兵庫県姫路市)。まるで雪をおおったように真っ白です。どうしてこんなに白いのでしょう。その秘密にせまりました。 (中塚慧)
今回の修理は「平成の大修理」といわれ、2009年10月に始まりました。
白さが際立ち、別名「白鷺城」とも呼ばれる姫路城。「その秘密は、壁にぬる真っ白な『しっくい』にあります」と姫路城管理事務所の副所長、春井浩和さんが教えてくれました。しっくいのおもな成分は石灰。海草や植物の繊維も混ぜて、ひび割れを防ぐ役割を果たしています。
修理では、しっくいのいたんだところをはがしてぬり直しました。使われたしっくいは約100トンです。約7万5千枚ある大天守の屋根瓦は1枚ずつ調べ、約1万6千枚を新しくしました。瓦が強風で飛ばされたりずれたりしないように、つぎ目にもしっくいを使います。そのため、城全体が白く見えるのです。
姫路城は江戸時代初めの1609年、徳川家康の娘婿の池田輝政が、家康に命じられて造ったとされます。のべ2500万人を動員し、8年がかりで作業しました。
なぜ白い城を造ったのでしょう。
「城は目立たない黒いものが多い。白くしたのは、徳川家が周囲に力を知らしめるためでは、といわれます。城を守るしくみが整えられていて、敵に攻め落とされない自信があったのかもしれません」と春井さん。
大規模な修理は、1964年に完了した「昭和の大修理」以来です。
姫路城のすぐ近くで育った児童文学作家の尾崎美紀さん(66歳)は当時、高校1年生でした。「工事中に城をおおっていた幕がとれた時の目のくらむような白さは、忘れられない。今回の修理で当時の感動がよみがえりました」と話します。
大天守の内部は、資料展示のスペースをなくしました。スマートフォンなどのカメラで文字や映像を実際の場面と重ねて表示するAR技術を導入。アプリを使い、城内15か所で築城当時の雰囲気が体感できます。
5層6階の大天守
大天守は屋根が5層あり、内部は6階建て。城の一部である西の丸には、約250メートルの「百間(ひゃっけん)廊下」があり、日本一長いといわれます。
太平洋戦争中の1945年6、7月の姫路空襲では、奇跡的に大きな被害をまぬがれました。93年には、世界文化遺産に登録。姫路市のシンボルとして親しまれ続けています。
修理が始まったばかりの姫路城の大天守=2010年2月、清田哲撮影
「しっくい」をぬり直し、真っ白になりました=18日、兵庫県姫路市
記事の一部は朝日新聞社の提供です。