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2016年6月24日付
「プログラミング教育」が注目を集めています。4年後の2020年度から、全国の小学校で行われる見こみです。プログラミング教育にくわしい人に、「プログラミングとは何か」「なぜ小学校で学ぶのか」「課題は何か」などについて聞きました。(沢辺雅俊、寺村貴彰)
有識者会議のメンバーでNPO「CANVAS」理事長の石戸奈々子さん
――プログラミングとは何ですか。
コンピューターに指示を与えて動かしていくことです。運動会でも進行が書かれた「プログラム」ってありますよね。これと似ていて、動作を分解して、順序立てて、過不足なく指示したものが、プログラムです。
――プログラミング教育は、なぜ必要ですか。
いま身の回りはコンピューターだらけ。電化製品もコンピューターでコントロールされています。コンピューターの原理原則を知ることは「読み書きそろばん」のような基礎能力。イギリスやロシアでは小学校で必修化されています。すべての子が取り組むには学校のカリキュラムとして進めるといいでしょう。
――プログラマーになろうということですか。
音楽の授業があるからといって全員がミュージシャンになるわけではありません。あくまで基礎教養です。
プログラミング「を」学ぶのではなく、プログラミング「で」学ぶということ。プログラミングによって、論理的に考え、問題を解決していく力などが育めます。子どもたちはロボットを動かすなど、新しい表現手段を手に入れられます。楽しさを感じてほしいですね。
情報教育を指導してきた清教学園中・高等学校の田邊則彦先生
――必修化の課題は?
国はまだ、小学生にどんな力をつけてほしいかを具体的に示しておらず、授業の内容も決まっていません。小学校で学んだ内容を、中学・高校・大学にどうつなげていくかまで考える必要があると思います。
――理想の授業は?
学校の先生とプログラミングの専門家が組んで行うのが望ましいです。興味や関心が高まった子は、自主的に作品を生み出しています。
――教科として、プログラミングの時間を設けるほうがいいですか。
各教科にうまくうめこむのがよいと思います。プログラミングに時間をさけば、ほかの教科の時間が減ってしまいます。
自ら学びたくなるように、1人1台のタブレットなど、環境を整えることが必要でしょう。
【小学校でのプログラミング教育の必修化】
文部科学省はこのテーマにくわしい有識者を集めて会議を開き、今月初めに議論をまとめました。新たに教科をつくるのではなく、すでにある「総合的な学習の時間」や教科の中で行い、どの教科や学年にするかは各校が決めるといいます。中央教育審議会でさらに議論し、次の学習指導要領にもりこんで2020年度から必修化する見通しです。
記事の一部は朝日新聞社の提供です。