文・谷内 悠 (東京大学大学院・人文社会系研究科)
錬金術師は科学者だった!?
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イラスト・岡本詩子
(東京大学大学院・学際情報学府)
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みなさんは、錬金術って知っていますか? 錬金術は「金をつくり出す」ためのワザです。錬金術師たちは、フラスコで薬品を混ぜ合わせたり、それを火にかけたりして、「金ではない金属を金にする薬」をつくろうと頑張っていました。
残念ながら、そのようなやり方では金をつくりだすことはできないと、今ではもうわかっています。
でも、錬金術師たちの実験や観察は、とても科学的でした。そのため錬金術は今の科学、特に化学の基礎になっています。例えば、化学の薬品や実験道具には、錬金術師たちが編み出したものが結構あるのです。
彼らは同時に、不老不死を目指して神さまや魂について考えてもいました。占星術もそうですが、今考えると科学的ではないものが、科学と強く結びついていた時代があったのです。
例えば数学にも、数式で世界を理解することは、それをつくった神さまを知ることだ、という考えのもとに発達していた時期がありました。
逆に今の科学では、錬金術ができてしまいます。膨大なエネルギーを使って原子レベルの構造を変える、核融合や核分裂ならば、金ではないものから金をつくれることがわかっているのです。
いつかは『鋼の錬金術師』みたいに、手を合わせただけで「ボンッ」というのも、夢じゃない……かも?
ともあれ、こうして歴史を振り返ると、科学って意外ともやっとしたものなのですね。変な感じです。
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