朝日小学生新聞 毎日発行 月ぎめ1,720円 ブランケット版(8ページ) 朝日小学生新聞

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愛知・東浦町の前副町長逮捕

 

 

人口を多く数えるように指示した疑い


寺本大蔵記者 朝日新聞名古屋本社

 

ジャン 最近、愛知県で「人口の水増し事件」があったと聞いたよ。どんな事件なの?


寺本記者 2010年の国勢調査で、愛知県東浦町が実際には住んでいない人まで数えて人口を多く見せかけた疑いがあるんだ。この「水増し」を部下に指示した疑いで、当時の副町長(63歳)が逮捕されたんだよ。

 

ケン 国勢調査ってなに?

 

 

 

東浦町役場に家宅捜索に入る愛知県警の捜査員=2月23日、愛知県東浦町で©朝日新聞社

 

 

 

――5年ごとに実施する国の統計調査で、外国人も含めた国内に住むすべての人が対象となる。1920年に始まってこれまで19回実施されているよ。2005年までは調査員が直接、家を訪ねて調査票を配り、あとで回収していた。


ジャン 調査票にはどんなことを記入するの?


――氏名、性別、生年月、職業、学歴、世帯人数、住居の床面積など20項目ある。自治体には転入・転出の届け出をもとにした住民基本台帳票(住民票)もあるけれど、国勢調査のほうが内容が詳しいし正確だと考えられているんだ。
国民は法律で回答が義務づけられ、結果は選挙や福祉政策などさまざまなことを決める重要なデータとなるんだけど、最近は回収率が低くなって困っていた。


ポン どうして?


――昔と比べてプライバシーの意識が高まり、個人情報を教えたがらない人が増えたんだ。そこで10年から原則、記入した調査票に封をして調査員に渡すか、役所に郵送する方式に変えた。
その際、記入もれがあったときは、性別や生年月など六項目に限っては、市区町村の職員が住民票などを利用して調査票に書き加える「補記」が認められた。この制度を悪用したのが今回の事件なんだ。


ジャン なにが問題だったの?


――町や村が市になるには、国勢調査で人口5万人を超えることが大きな条件だ。東浦町は5万人が目前で、「市になるぞ」と宣言して準備を進めていた。でも仮集計すると5万人に400人ほど足りなかったので、当時の副町長が「補記」を悪用して5万人を超えさせるよう、部下らに指示した疑いがあるんだ。
「補記」するには実際に住んでいるかの確認などが必要なんだけど、部下らは確認しないまま書き加えて水増ししたと、警察はみている。朝日新聞の取材に「5万人達成の使命感から夢中で調査票を書いた」と打ち明けた職員もいる。その結果、人口は5万82人と、ほんの少しだけ5万人を超えた。


ケン どうして不正がわかったの?


――不正を指摘する匿名の文書が、国勢調査を担当する総務省に届いた。総務省が現地調査するとおかしなケースが続々と見つかったんだ。


ポン 例えば?


――空き家にブラジル人3人が住んでいることになっていたり、まだ誰も住んでいない新築の一戸建てに家族が住んでいることになっていたりしていて、町が人口を「水増し」していた疑いが強まったんだ。


ジャン そうまでして、なぜ市になりたかったのかしら。


――市になると、町や村にはない権限が増えるんだ。独自の福祉サービスができるし、国や県への発言力が大きくなるといわれている。
イメージもよくなって、企業や商業施設の誘致がしやすくなるとか、引っ越してくる人が増えるという意見もある。
国が「市町村の数を減らして行政のむだをなくそう」と呼びかけた「平成の大合併」で、00年に2500以上あった町・村は約九百にまで減っている。その分、どうしても市になりたいと考えたのかもしれないね。

 

過去の記事↓

◆中国の全人代ってどんな会議? (2013年3月16日)

◆普天間飛行場の引っ越し問題って?(2013年3月9日)

◆愛知・東浦町の前副町長逮捕(2013年3月4日)

2013年3月4日付

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