学業や留学に配慮、開始おくらせる
岡林佐和記者 朝日新聞経済部
ジャン 就職活動のやり方が変わるの?
岡林記者 大学生の就職活動のことだね。政府が今月、大きな会社が入っている「経団連」という団体に、就職活動のスタート時期をおくらせるよう求めたんだ。
ポン 就職活動って何?
岡林記者 学校を卒業した後にどこの会社に入って仕事をするか探すことだよ。略して「就活」という。日本では大学生のうちに活動して、卒業したら入社すると約束をしておくのが一般的だね。
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合同企業説明会に参加する学生たち=2012年12月、東京都江東区の東京ビッグサイトで ©朝日新聞社 |
ジャン 私は旅行会社で働きたいわ。
――旅行会社や銀行、車やお菓子をつくるメーカーなどたくさんの会社があるから、ずっと働いていくには、自分に合った会社を見つけたいよね。
50社や100社に履歴書を送る人もいる。その後、試験や面接を受けることになるよ。
ポン スタート時期をおくらせるって?
――今は「大学3年生の12月」になったら、企業は「うちの会社はこんな会社ですよ。ぜひ来てください」と学生に呼びかけてもいいと決まっているんだ。
でも、これからは3か月おくらせて、「大学3年生の3月」からにすることになったんだ。試験や面接は「大学4年生の4月」を変えて、「大学4年生の8月」から始めていいことになった。
ジャン 就職活動は、大学3年生のときからするんだね。大学は4年生まででしょ?
――そうだね。日本では多くの学生がいっせいに大学3年生のうちに活動を始める。
企業も優秀な学生を早く見つけて「うちの会社に来てね」と約束をしたいから、就職活動の時期はどんどん早くなっていったんだ。
ケン どうしておくらせるの?
――早すぎる就職活動は、大学の勉強のじゃまになると反対の声がたくさん出たからだよ。
就職活動では、大学の授業を休んで会社の説明会や面接に行かなければならないことがある。
もう一つは、海外への留学を応援するという意味がある。
ジャン 留学しやすくなるの?
――その通り。海外の大学へ留学すると6月ごろに帰国する人が多い。企業の試験や面接を8月におくらせたら、間に合うというわけだ。これまでは、就職をあきらめて留年してもう1年余分に大学へ行く人もいたんだ。それがいやで、就職活動のために留学をあきらめる人もいた。
これからはどんどん留学して、世界で活躍できる人が増えていくね。
ポン いいことばかりだね。
――問題もあるよ。就職活動はだいたい、大きな企業が終わってから小さな企業へ移る。スタートがおそくなれば、小さな企業は活動の期間が短くなって、うまく学生を採用できなくなるんじゃないかと心配している人もいる。
また、就職活動の期間が短くなり、就職先が決まらないまま卒業する学生が増えるという声もあがっている。
それにこのルールは、経団連が政府のお願いに応じる形で決まる。外国の会社や経団連に入っていない会社は守る必要がない。だから「ぬけがけ」をする会社が増えるのではないかという心配もある。
ジャン いつから変わるの?
――いまの大学2年生からだよ。みんなが大学生になって就職活動するころには、どんなふうになっているかな。
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