朝日小学生新聞 毎日発行 月ぎめ1,720円 ブランケット版(8ページ) 朝日小学生新聞

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憲法を変える動きがあるの?

 

 

日本の未来の形、みんなで考えよう


小村田義之記者 (朝日新聞論説委員)

 

ジャン 首相の安倍晋三さんが憲法を変えたいんだって。憲法って何なの?


小村田記者 憲法は国の「最高法規」、つまり法律の親分みたいなものだよ。日本はこういう国、と定めた約束ごとでもある。国を動かす人たちの権力を制限して、国民の自由と権利を守る基本ルールなんだ。

 

ケン 安倍さんが決めれば変えられるの?

 

村田記者 いや、憲法を変えること(改憲)は最終的には国民が判断する。未来の日本にかかわる話だから、よく勉強して、考えて、きちんと議論しないといけないね。

 

ポン 憲法にはどんなことが書いてあるの?

 


 

 

 

イラスト・たなかさゆり

 

 

――第1章は天皇、第2章は戦争放棄となっているね。それから、国民の権利と義務、国会、内閣、司法、財政、地方自治……。


ジャン むずかしそう。


――天皇や大臣、国会議員、裁判官、公務員らは憲法を守って仕事をしなければならない。国を動かす人たちが、権力を持って好き勝手に暴走しないように、しばりをかけているんだ。


ケン そんな大事なものを変えていいのかな。


――時代や国際情勢の変化にあわせて憲法を変えられるように、96条に改正の手続きが定められている。改正されたことは一度もないけどね。


ポン どんな手続き?


――衆議院と参議院でそれぞれ3分の2以上の議員が賛成したら、国会は国民に憲法の改正を提案する。国民に示す改正案を国会で決めることを発議というよ。そして、国民投票で過半数が賛成すれば改正されるんだ。発議のために国会の3分の2以上の賛成が必要なことと、国民投票があるぶん、ふつうの法律より改正がむずかしくなっている。


ジャン 変えるのがむずかしいのは日本だけ?


――アメリカをはじめ多くの国が、それぞれ厳しく制約しているよ。最高法規がころころ変わったら、国を治める基本が不安定になってしまうからね。


ケン 安倍さんは何を変えたいんだろう。


――96条を改正して、憲法を変える手続きをゆるめようとしている。国会の発議に必要な3分の2以上の賛成から、2分の1以上(過半数)の賛成にして、発議しやすくする考えだ。実現したら、戦争放棄を定めた9条などの改正もねらうのかもしれない。


ジャン それなら、最初から9条を変えればいいのに。


――9条の改正については、これまで国民の間で議論が分かれてきた。国内外で反発されそうな9条は後回しにして、まずは96条を変えることで改憲のハードルを下げたいんじゃないかな。快適な生活を確保する「環境権」を新しくもりこもうという声や国会のあり方などを議論すべきだ、という意見もあるよ。


ポン どうして安倍さんは憲法を変えたいの?


――いまの憲法は戦後、連合国が日本を占領していたときに作られたから、押しつけ憲法じゃないか、と反発する気持ちがあるようだ。安倍さんのおじいさんの岸信介元首相は、改憲に執念を燃やした人だった。その理念を受け継いでいるのかもしれない。


ケン これから、どうなるの?


――自民党は7月の参議院議員選挙で96条改正を争点にしようとしている。野党の日本維新の会、みんなの党なども、この問題では安倍さんと同じ意見なんだ。


ジャン すぐに改正になるのかな。


――参院選の結果、自民や維新などの議席が合わせて3分の2以上になれば、96条改正が発議されて国民投票が実現するかもしれない。でも、改憲で日本という国が本当に良くなるのかどうかは、しっかり考えたほうがいい。96条の改正が幅広い人に受け入れられるには、相当な説得力が必要になると思うよ。


 

過去の記事↓

◆司法試験って? 何が変わるの?(2013年5月18日)

◆学校教育のしくみが変わるの?(2013年5月11日)

◆憲法を変える動きがあるの?(2013年5月3日)

2013年5月3日付

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