8月は日本のロケットが2機飛ぶの?
名村栄次郎さん 宇宙航空研究開発機構(JAXA)広報部
ポン 今月、日本で2機のロケットが打ち上げられるってきいたよ。
名村さん 種子島宇宙センター(鹿児島県)から4日に打ち上げ予定の「H2B」と、内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県)から22日に打ち上げ予定の「イプシロン」だね。イプシロンは12年ぶりとなる国産の新型なんだ。
ジャン それぞれどんなロケットなの。
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呼びかけにこたえ、手をあげて返事をするロボット宇宙飛行士「KIROBO」=6月26日、東京都豊島区で、寺村貴彰撮影 |
――まず新型のイプシロンから説明しよう。イプシロンは早く安くつくれるのが特徴だ。ロケットは大まかにいうと2種類に分かれる。燃料に火がついてから消えるまで進み続ける単純なつくりの固体燃料ロケットと、燃焼時間などを細かく制御できる複雑なつくりの液体燃料ロケットだ。
イプシロンは固体燃料ロケットで、中でもサイズが小さく、つくりが簡単だから、発射台でロケットを組み立ててから片づけまでの時間が7日間と短い。2006年に引退した前のモデル「M5」の6分の1の期間だよ。
ポン どうして安くつくれたの。
――人にかかるお金を少なくしたからだよ。イプシロン内部のコンピューターが、自分で不具合をチェックするから、点検にかかる人数を数十人から数人にまで減らすことができたんだ。また、部品の数を減らすなどして、打ち上げ費用を38億円におさえ、「M5」の約半分にした。ロケットの開発に力を入れるアメリカやロシアなどと価格競争がはげしいから、数年のうちに30億円を切ることをめざしている。
ケン イプシロンにはどんな役目があるの。
――火星や木星などの大気を調べる衛星の打ち上げに使われるよ。宇宙には数多くの星があるから、人工衛星を安くたくさん打ち上げて、宇宙をもっと調べたいんだ。
ジャン じゃあ、H2Bはどんなロケット?
――20トンまで運ぶことができる(打ち上げ能力)大型液体燃料ロケットだ。水や食料、実験に使う装置などが入った補給機「こうのとり」4号機を積みこみ、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在している宇宙飛行士に届けるのが目的だよ。
どちらのロケットも先端部に衛星や補給機を積んでいる。打ち上げ後、いらなくなった部分は切り離され、大気圏に突入して一部が燃え、残りは海に落とすんだよ。
ポン 7月1日付の朝小で、ロボット宇宙飛行士「KIROBO」ちゃんも乗るって紹介したよ。
――KIROBOは音声を認識して会話ができる。11〜12月ごろにISSに到着する宇宙飛行士の若田光一さんと、世界で初めて宇宙での会話実験をする予定だよ。
ケン 今後のロケットはどうなっていくの?
――必要に応じてロケットを使い分けていくよ。ただし、人工衛星の小型化や、より大がかりな実験装置を運ぶために、それぞれのロケットの開発が進められそうだ。
ポン 明日のH2Bの打ち上げが楽しみ〜。
――人類ってこんなことができるんだ、なんてことを考えながら見守ってもらえるとうれしいな。
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