朝日小学生新聞 毎日発行 月ぎめ1,720円 ブランケット版(8ページ) 朝日小学生新聞

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太平洋クロマグロ

 

 

 

守るため、幼魚を取る量半分に


澄川卓也記者 朝日新聞経済部

 

ジャン  太平洋でマグロを取る量が減らされるの?

 

澄川記者 日本の海にもいる太平洋クロマグロが、近年ものすごく減っているんだ。そこで日本や韓国が来年から、取る量を半分にすると決めたんだよ。ずっと食べ続けられるよう、資源を増やす取り組みを急ぐんだ。

 

ポン 食べられなくなっちゃったらいやだな……。

 

 

 

 

 

 

 

水あげされるクロマグロ=鳥取県境港市©朝日新聞社

 

 

 

 

 

ジャン マグロ大好き! 回転ずしで食べたわ。


――マグロにはメバチやビンナガなどの種類があって、それぞれ大きさやあぶらのつきかたがちがうよ。クロマグロは本マグロともいい、最大400キロを超える。最も値段が高く、すしや刺し身用に使われるけど、スーパーでは安くておいしいメバチなどが人気だよ。


ケン クロマグロは太平洋だけにいるの?


――地中海などにもいるよ。こちらは大西洋クロマグロとして分けられている。太平洋クロマグロは沖縄や日本海の沖で生まれ、アメリカ沖で成長し、親魚になってもどってくる。30キロより小さい幼魚はメジやヨコワと呼ばれるよ。


ジャン 取る量を半分にするってどういうこと?


――マグロは世界の海を泳ぐから、海ごとに国際組織が取るルールを話し合っている。西太平洋を管理する「中西部太平洋まぐろ類委員会」に参加する日本や韓国は、来年から太平洋クロマグロの幼魚を取る量を、約10年前の3年間(2002〜04年)に取れた量の平均から半分にするんだ。

 

ポン どうして幼魚だけなの?


――クロマグロが減っている原因は、卵を産む前の幼魚を取りすぎているからなんだ。幼魚は群れで泳いでいるのでたくさん捕まえやすい。天然の幼魚を大きく育てる「養殖」も盛んになったので、取る量の大半が幼魚になってしまった。
幼魚が減ると親魚も減る。親魚の生息数は過去最低水準になった。今後10年で順調に回復させるには、幼魚を取る量を半分より少なくするしかない、と科学者が指摘したんだ。


ケン 大西洋クロマグロも減っているの?


――太平洋より先に資源が激減し、国際的な取引が禁止される一歩手前までいった。ここでも国際組織が幼魚を取らないルールを厳しくした。これがきいて、去年からは東大西洋では取れる量を増やせることになった。


ジャン 今回はだれが呼びかけたの?


――実は日本なんだよ。日本は西太平洋で最もクロマグロを取っているんだ。いま手を打たなければ、取引が禁止される恐れもあるから危機感は強い。


ケン 漁師さんは困らない?


――漁師さんのなかには我慢しようという声もあるけど、しばらくは収入が減るので困るという声もあるよ。


ポン クロマグロはもう食べられなくなっちゃう?


――太平洋クロマグロは世界で取れるマグロ類の数%で、元々の数が少ない。急に値段が上がることはなさそうだよ。


ジャン 私たちにできることはないかしら?


――日本は世界有数のマグロ消費国なんだ。昔は高級魚だったけど、いまは普段から食べるようになったことで、取りすぎにつながった面がある。これからは、ぼくたち買う側も、資源をどう守るか関心を持たないといけないね。

 

過去の記事↓

◆「女性が輝く社会」(2014年9月21日)

◆太平洋クロマグロ(2014年9月13日)

◆安倍内閣の顔ぶれが変わったの?(2014年9月7日)

2014年9月13日付

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