経済再生や「集団的自衛権」議論に
国分高史記者 朝日新聞論説委員
ジャン 去年は12月に衆議院議員選挙があって、あわただしかったね。政治の世界は今年、どんな1年になるのかしら。
国分記者 安倍晋三首相は5日の年頭記者会見で、「日本経済を必ず再生する」と宣言したよ。
ケン 「経済を再生する」って、どういうこと?
――日本はもう20年近く、働く人の給料や物価が下がる「デフレ」に苦しんできた。安倍さんはデフレからぬけ出すことを大きな目標にして、世の中に出回るお金の量を増やしたり、政府がたくさんのお金を使ったりする政策を続けてきたんだ。
ポン それを「アベノミクス」というんだね。
――その通り。そのおかげで株の値段が上がり、大きな会社に勤める人の給料も増えるなどの効果が出てきたんだ。
ジャン 景気がよくなったのね。
――ただ、まだまだ景気回復を感じられない人も多い。特に地方や小さな会社で働いている人たちにはそういう思いが強いみたい。
ケン そこを何とかしようというわけだね。
――そうだ。安倍さんは地方の経済を元気にしたり、女性がもっと働きやすい環境をつくったりして、みんなが景気回復を実感できるようにしたいと言うんだ。
ポン 今年は「戦後70年」だね。
――太平洋戦争で日本が敗れたのが1945年。50年には村山富市首相が、60年には小泉純一郎首相がそれぞれ談話を出したんだ。安倍首相も新しい談話を出す予定だ。
ジャン 談話って?
――あの戦争やその後の日本の歩みについて政府の考えをまとめたものだ。村山談話は「植民地支配と侵略によって、アジア諸国の人々に多大の損害と苦痛を与えた」と認め、反省とおわびを表した。この率直な姿勢が、周りの国々からも高く評価された。
ケン 「安倍談話」はどんな内容になるの?
――安倍さんは「先の大戦への反省、戦後の平和国家としての歩みなどを書きこみたい」と言っている。ただ、安倍さんは以前は村山談話に否定的だったんだ。だから、どんな談話を出すのかは、アジアだけでなくヨーロッパの国々やアメリカも注目しているよ。
「原発回帰」進めるか
ポン 「集団的自衛権」に関係する法律もつくるって聞いたけど。
――安倍内閣は去年、歴代内閣が「憲法9条で禁じられている」と解釈してきた集団的自衛権を日本も使うことができると閣議決定した。ただ、自衛隊がどんな場合にこの権利を使えるか定める法律はこれからつくるんだ。野党は閣議決定はおかしいと批判していて激しい議論になりそうだ。
ジャン 今年は大きな選挙はないの?
――4月には都道府県や市区町村の長と議員を選ぶ統一地方選挙がある。それとは別に自民党と民主党の党首を決める党内の選挙があるよ。自民党の総裁は引き続き安倍さんになりそうだけれど、18日の民主党代表選には長妻昭さん、細野豪志さん、岡田克也さんが立候補している。
ケン ほかにはどんなことがあるの?
――鹿児島県の九州電力川内原子力発電所は2月にも再稼働する見通しだ。安倍政権がこのまま「原発回帰」を進めるのか議論になりそうだ。
また、安倍さんが悲願とする憲法改正に向け、議論をどう進めていくのかも注目されるよ。
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