13年ぶり3横綱、日本人にも期待
高橋純子記者 抜井規泰記者
ケン 大相撲の鶴竜が横綱に昇進したね。
抜井記者 これで、11日からの夏場所は白鵬、日馬富士、鶴竜の3人が横綱になったよ。番付表に横綱が3人並ぶのは、2001年の初場所の曙、武蔵丸、貴乃花以来、13年ぶりだ。横綱は3人とも、モンゴル出身なんだよ。
ポン 横綱にはどうすればなれるの?
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▲雲竜型の土俵入りを奉納する鶴竜(右)=3月、東京・明治神宮 ©朝日新聞社
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左から日馬富士、白鵬、鶴竜の3横綱 ©朝日新聞社
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日本人大関として期待される稀勢の里©朝日新聞社
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――横綱になるには、大関で2場所連続優勝するか、それに近い成績だったらなれるんだ。力士の模範となる品格も求められる。
ジャン 鶴竜は2場所連続優勝じゃなかったわよね?
――3月の春場所は優勝したけど、1月の初場所は14勝1敗で白鵬と並び、優勝決定戦で負けた。平成に入ってから、旭富士、曙、貴乃花、若乃花、武蔵丸、朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜と9人が横綱になったけど、2場所連続優勝じゃなくて昇進したのは鶴竜だけだよ。でも、初場所の成績は「優勝に近い成績」と認められて昇進が決まったんだ。
ポン 横綱3人なんて、豪華な感じだね。
――優勝争いも楽しみだし、土俵入りのやり方もちがう。白鵬、日馬富士の不知火型に対し、鶴竜は雲竜型というスタイル。ちがいをテレビでよく見てごらん。
ケン 日本の国技ともいわれるのだから、日本出身の横綱も誕生するといいのにね。
――いま横綱に最も近いと期待されているのが、茨城県出身の大関・稀勢の里。3年半前、白鵬の記録的な連勝を63で止めた力士だ。去年の夏場所で13勝2敗の好成績をあげ、続く7月の名古屋場所が「綱とりの場所」になったんだけど、前半で3敗して横綱を逃したんだ。「次の横綱は稀勢の里」と誰もが思っていたんだけど、鶴竜に先を越されてしまった。
ジャン 稀勢の里は横綱にはなれないのかな。
――去年1年間の成績をみると、鶴竜は54勝36敗。稀勢の里は68勝22敗。圧倒的に稀勢の里の方が好成績だ。精神面が弱点だといわれるけど、横綱になるチャンスは十分あると思うよ。
このところ大相撲は、一部の力士がお金で勝ち星をやり取りする八百長問題など不祥事が続き、お客さんが大きく減ってしまった。相撲協会としても、日本人横綱の誕生で人気を取り戻したいところなんだ。
ケン どうして日本人力士は優勝できないのかな?
――相撲の稽古はとても厳しい。豊かな日本で育った子では厳しい稽古を乗り越えられない、という声がある。でも、白鵬のお父さんはモンゴル初のオリンピックメダリストで、母国の英雄。とても裕福な家に育ったんだ。鶴竜も、お父さんは大学の教授。ハングリー精神(貧しい環境からぬけ出そうとする気持ち)が消えた、なんていう話ではなく、日本人力士の気合と根性の問題だと、おじさんは思うよ。
ポン 相撲よりサッカーの方がかっこいいしね。
――でも、相撲は監督に認められなければ試合に出られない、なんてことはなく、出場のチャンスは平等だ。健康で一定の体格のある男の子が力士になりたいと思えば、中学を卒業した時点でなることができる。関取(十両以上)に出世すれば、ほかのスポーツ選手以上の収入も得られる。
これほど実力次第でえらくなれるプロスポーツはないんだけど、そういう魅力が伝わっていないんだろうね。
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