新聞を読む習慣を身につけ、時事問題に強くなるにはどうしたらいいでしょうか。「まずは興味のある記事だけ読めばいい。記事の内容を家族で話題にすることで、時事問題の知識が自然に身につく」。朝日学生新聞社社長の沖浩はこう話しています。
時事問題の出題は社会の流れ
小学校の新指導要領にも登場
今年の中学入試は、社会や理科を中心に、ニュースから出題する時事問題が多かった、と思います。中学入試で時事問題を重視する傾向は、今後ますます定着していくと思います。時事問題を理解する力や、そのための教育が、いま社会で求められているからです。
4月から新しい学習指導要領になり、新聞の読み方や新聞記事の書き方を小学校の授業で学ぶようになるのも、こうした社会のニーズにこたえるためです。
しこ名で漢字を覚え、打率・勝率で計算力をつけた
興味のある記事、面白い記事から初めて習慣にする
これから新聞を読もうというお子さんや、新聞を読むのが少し苦手というお子さんは、新聞をどのように読めばよいのでしょうか? それにはまず、自分自身が新聞を読むきっかけは何だったのか、を考えてみましょう。
私の場合はスポーツ少年で、大相撲とプロ野球が大好きな子どもでした。好きな大相撲やプロ野球の新聞記事を読むうちに、力士のしこ名の漢字を覚え、野球選手の打率やチームの勝率などを計算する力を自然と覚えていきました。大相撲の力士やプロ野球の選手が好きだ、大きくなったらあんな人になりたい、といった子どもの夢やあこがれがあれば、多少背伸びをするかもしれませんが、新聞を読むことは楽しく、苦にならないものです。
新聞を初めて読む、新聞を読むのが苦手というお子さんは、まずは興味のある記事や面白いと思った記事だけを読むことから始めてください。それを続けていけば、自然と新聞を読むことが習慣になっていきます。
中学受験という目標を持ち、塾や学校の勉強で忙しい小学生には、やはり朝日小学生新聞(朝小)を読むのが効率的です。実際の中学入試の時事問題を見ても、朝小を毎日読んで知識を身につけていけば、ほとんど解ける問題だと思います。
暑いときに猛暑の記事を読むことに意義がある
鮮度の高い記事を毎日目にして興味・関心を広げる
毎日送られてくる新聞記事は非常に鮮度が高い情報です。新鮮でおいしい情報だから、感性を働かせ、皮膚感覚で読むことができるのです。新聞を読むことでニュースに関心を持ち、そこから興味を広げていくことできるのです。
どういうことでしょうか。猛暑の記事を例に見ていきましょう。
去年は気温が35度を超える猛暑日が続くなど、記録的な猛暑の年でした。猛暑のニュースを読むということは、単に知識を習得するだけではありません。自分自身が、「ことしの夏は、メチャクチャ暑いなあ」と感じながら読むことが大事です。お子さん自身が、「メチャ暑い」と感じながら読むから、猛暑についての興味が次々と生まれてくるのです。朝小では、猛暑の原因として地球温暖化やラニーニャ現象などが考えられること。猛暑の影響で、レタスが38%、トマトが30%も値上がりしたことなども取り上げました。お子さんはこの記事を読むことで、猛暑に関する興味を広げ、さまざまな知識を自然と身につけることができるのです。
鮮度の高い記事は、気象の話だけではありません。参院選挙の記事も同様です。
選挙のころは、街には選挙カーが走り、ポスターがあちらこちらに貼られています。お子さんたちは当然、参院選挙のことが気になっています。そういうタイミングで朝小は、参議院の制度や衆議院との比較などの知識を提供しました。また、民主党が大敗した選挙結果やその敗因などを、日刊紙の強みを生かしてスピーディーに紹介し、お子さんたちの知りたいという意欲に応えました。
「きょうは暑かった。猛暑日かしら?」
記事の中から身近な話題を家族の会話に
新聞を読むにしても、4教科の勉強をするにしても、お子さんをその気にさせることが大事です。家庭でその役割を果たすのはだれでしょうか。ご家庭の事情にもよりますが、多くの場合、お子さんの最も身近な存在であるお母さんではないでしょうか。朝小のアンケートも、読者の家庭ではお母さんの95%が朝小を読んでいます。
何も難しいことをする必要はありません。「きょうは暑かったわね。猛暑日だったのかしら?」「中東情勢の混乱が続くと、ガソリンが値上がりするので困るわ」などと、朝小の記事にあった身近な話題を、お子さんとの会話の中で取り上げればいいのです。
そこにお父さんも加わり、家族でニュースの話ができれば、お子さんはより自然にニュースを読み、時事問題の知識が身につきます。
朝日学生新聞社 社長 沖浩
おき・ひろし 東京生まれ、東京大学法学部卒業。相撲が好きで大学時代は相撲部。朝日新聞社に記者として入社し、社会部、整理部、メセナ・スポーツ部長などを経て、2011年6月から現職。 |
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