文・大嶽晴佳 (東京大学大学院・新領域創成科学研究科)

 

 

傷を隠す色塗り 傷から身を守る色塗り

 

イラスト・岡本詩子

(東京大学大学院・学際情報学府)

 

 今回は中学生時代に好きだった文房具のお話をします。それは「カラーペン」です。
 私は、ラメが入ったペン、におい付きのペン、ふちどりペンなどさまざまなペンを集めていました。それらを使ってノートを取ると、勉強も楽しく感じられました。
 しかし、ペンの威力を一番発揮できた場所は、授業用ノートではなく交換ノートです。私は友達と毎日のように交換ノートをしていました。罫線が引いてあるだけの大学ノートに、日々考えていることやテレビの話などをカラフルなペンで書いて交換していたのです。
 このとき私はよく「ミノムシ」を描いていました。ミノムシは、文字を間違えたときに描くイラストです。修正液では裏写りするため、文字の上をペンで塗りつぶして裏から読まれないように修正します。その後、目玉をつけてミノムシにし、見た目をかわいくしていたのです。
 このような間違いや傷のための色塗りは、交換ノートだけでなくさまざまな場所で行われています。
 たとえば飛行機は、雨やひょう、紫外線、ちりなどで機体が傷んできてしまいます。そのとき役に立つのが塗装です。重さ200キロの塗料を使い1週間以上かけて全体を塗り直し、機体を保護します。夏休みによく見るポケモンジェットも、見た目をかわいくする目的だけでなく、機体を傷つけないための塗装なのです。
 ぜひみなさんも傷に備えた色塗りのほかの例を探してみてください。


 

 

2012年11月11日号

ページの先頭へ